もはやカメラといえばスマホかデジタル一眼かという状況で、コンパクトデジカメの新製品を見ることすら珍しい今日この頃なのだけれども、その中で長く売れ続けているのがリコー「GR III」なのである。イメージセンサーはAPS-Cサイズで高画質、レンズは28mm単焦点、でもめちゃコンパクトで機能をシンプルでスナップ写真に特化したミニマルなカメラってところが質実剛健でいいのだ。
そんなGR IIIに兄弟機が登場した。その名も「GR IIIx」。違うのはレンズの焦点距離だけといって過言じゃないくらい。そのレンズは40mm。28mmよりほんのちょっとだけ望遠になり、飼い猫を撮るのにいい感じになったのだ。
なので今回は保護猫シェルターQUEUEの保護猫たちと、うちの黒猫「ミル」の写真でいきます。冒頭写真は保護猫シェルターQUEUE。カメラを向けたら真正面からじっとみつめてくれたのでいい感じになったのだった。室内の照明の色をほんのり残してて、その場の雰囲気も捉えてくれるのがいい。
走り回る猫を捉えるのが得意なカメラではなくて、日常の一瞬を見たままに切り取るのが真骨頂。室内では室内っぽく、陽射しが当たれば日向っぽく撮ってくれるのだ。こちらは陽射しを浴びながら顎のせ昼寝してるチャトラ。日向のぽわっと光が当たる感じと、ぎゅっと締まった日陰のコントラストがすごく印象的。黒く締まるべきところが締まる気持ちよさだ。
さらに、これは逆光で撮ったらカッコいいんじゃないかと狙ってみたのがこちら。目の上から伸びてる白い毛にピントを合わせてみた。光があっての影、影があっての光ってのを思い出させてくれる。
猫の顔をアップで狙うときはマクロモードの出番。GR IIIxはマクロモードを持っていて、オンにするとレンズ前12cmまで寄れる。これは顔のアップに丁度いい距離感だ。次の写真は白い毛をより白く見せたかったのでホワイトバランスをあとでいじってある。
残りはうちの黒猫ミルでどうぞ。黒猫って瞳が大きくなる夜の写真もいいけれども、昼間の目がめちゃ細くなってるのも捨てがたい。外光が入る窓の方を向いたところを狙ってみた。いやあ、黒がいい感じに黒く出ております。
GR IIIxはモノクロモードもカッコいい。モノクロだけでも3種あるのだが、これはハードモノトーン。コントラストが強めに出てキリッとするモノクロだ。
カラーで撮ってもよかったのだけど、目を閉じてる黒猫は色がまったくなくなる分、背景の布の色が邪魔に感じられるので、ハードモノトーンにしちゃったのだ。無防備にバンザイして寝てる黒猫である。胸元に白い毛がちょっと混じってるのがうちの黒猫の特徴だ。
気持ちよさそうに伸びてるのをいいことに、右手にGR IIIxを持ち(軽いので片手撮りも楽なのだ)、左手で撫でてたら、思い切り嚙まれました。ぐさっ。
嚙みたい年頃だからしょうがないとはいえ、加減を知らないので痛いのだった。写真だと犬歯が3本しか写ってないけど、1本は隠れてるだけでちゃんと4本あります。
スマホの性能がどんどん上がってきて、日常のスナップならスマホで済ませられる昨今なんだけど、GR IIIクラスになるとカメラならではのなだらかで美しいボケや素直な階調、シャープなディテールといった写真ならではの風合いを出せるし、撮影者の意図に応じた画を描いてくれる気持ちよさがあるのだ。
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筆者紹介─荻窪圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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