佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第40回
iOS14や新iPadとともに、AirPods ProのSpacial Audioファームアップ開始
着々と開発が進む、アップルの空間オーディオとSR技術
2020年09月22日 13時00分更新
ポータブル環境では体も機器の位置も動く
それでは、既存の課題とは何だろうか? 従来フォーマットは映画館など、スピーカー位置が固定した場所を前提としているということのようだ。アップルは、従来フォーマットでは、様々な種類の音源を動的なSR環境に組み込む統一された方法がないことが難点だと指摘している。
WWDC 2020で触れられたが、アップルの空間オーディオは、スピーカー(イヤホン)およびリスナーの両方の移動を考慮している点がポイントだ。となると、新しいフォーマットがないと、SRアプリの開発者もリスナーが動いた時にどう聞こえるかをシミュレートする方法がないことになる(どちらかというとこれが一番のポイントになるように思える)。
おそらくアップルは、その標準化を狙っていると推測されている。
ファイルフォーマットなので、最終的にはMP3やMP4といったファイルフォーマットに落とし込まれると思うが、特許の話なので実際の製品にどう生かされるか以前に、そもそも製品に適用されるか自体がわからない。
製品への応用例のひとつには、発売が噂されている「Apple Glass」が考えられる。もちろんAirPods Proなどでも、SRアプリを使って流行りのASMRコンテンツを再生するといった応用方法があるかもしれない。こうした特許から先の製品について思いを巡らせるのもまた興味深いことだ。
この連載の記事
-
第285回
AV
新感覚のオーディオイベント「REB fes」を体験、自分だけのストーリー実現に悩もう! -
第284回
AV
JBLによる2つの新提案「LIVE BEAM 3」と「Fit Checker」を体験してきた -
第283回
AV
グーグル、プロも驚く音楽生成AI「Music AI Sandbox」を開発 -
第282回
AV
液晶をタッチして操作する、Volumioの新ネットワークプレーヤー「Motivo」 -
第281回
AV
HIGH END Munich 2024出展製品から、気になるエントリーオーディオをセレクト -
第280回
AV
水月雨がオーディオファン向けスマホを開発、複雑になりすぎたスマホ高音質再生への問いかけ -
第279回
AV
Chordの積み木型オーディオシステムが面白い、「Suzi」と「Suzi Pre」 -
第278回
AV
さすがにSpotifyもロスレス対応しそう、Redditユーザーがさらに解析結果をリーク -
第277回
AV
スマホがLE Audioに対応していなくても、なぜAuracastを使えるのか? -
第276回
AV
Amazon Musicも生成AIを使ったプレイリスト作成機能提供、あいまいな指示に応える -
第275回
AV
ソリッドなステンレス筐体とK2HDサウンド、iFi audioの「Go bar 剣聖」 - この連載の一覧へ