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Build 2017でナデラCEOが語った「AI」と「サーバーレス」

クラウドファーストから「インテリジェントエッジ」へ、MSの戦略シフト

2017年05月12日 07時00分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

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 米マイクロソフトが5月10日~12日(米国時間)の3日間、シアトルで開催している年次開発者会議「Build 2017」。初日の基調講演で、サティア・ナデラCEOは、これまで同社の戦略として掲げてきた「モバイルファースト、クラウドファースト」に代わる新たな構想として、「インテリジェントクラウド、インテリジェントエッジ」を打ち出した。

「Intelligent Cloud+Intelligent Edge」

 ナデラCEOは、1秒間に1GBレベルの大量データが生成され、データから得られた洞察をリアルタイムに使う必要がある自動運転車やインダストリアルIoT(IIoT)を例に、「このようなシステムでは、エッジ側もAIの機能を持つ必要がある」と説明。クラウドのAI(Intelligent Cloud)とエッジデバイスがリアルタイムに連携することでEdgeもIntelligentになる(Intelligent Edge)という構想「Intelligent Cloud+Intelligent Edge」を次のMicrosoft Azureの戦略に掲げた。

 この構想を実現するテクノロジーとして、ナデラCEOは、「マルチデバイス」、「AI」、そして「サーバーレス」の3つを挙げている。また、エッジ側に必要なテクノロジーにはマイクロサービスやコンテナーがあると述べ、その具体的なサービスとして、IoTデバイスがAzure上のサービスと通信するためのクライアントアプリケーションをDockerイメージとしてデバイス上でデプロイする「Azure IoT Edge」を発表した。

「Azure IoT Edge」

 基調講演のデモでは、Azure IoT Edgeを使って、Azureのサーバレスサービス「Azure Functions」や、リアルタイムデータ分析サービス「Azure Stream Analytics」、機械学習サービス「Azure Machine Learning」などと通信するコンテナーアプリケーションをエッジデバイスに即時展開していた。

 エッジデバイスで生成されたデータから、Azure上のサーバーレスアーキテクチャによるデータ分析フローを活用してリアルタイムに洞察を得て、その洞察に基づくAIをエッジデバイスに即時配置する。これによって、ユーザーはIntelligent Cloudのパワーを手元のデバイスから得ることができる。PC上のCortanaに話しかけたら即時に返答がくるのと同じ仕組みだが、サーバーレスアーキテクチャ、コンテナーテクノロジーによって、より大量データの分析が必要なシステムでも同様の体験ができる、これがIntelligent Cloud+Intelligent Edgeのビジョンのようだ。

 サーバーレスアーキテクチャとIntelligent Edgeの具体的な活用シナリオとして、ナデラCEOが示したのが、「AI for Workplace Safety(職場の安全性のためのAI)」だ。

「AI for Workplace Safety」

 監視カメラがIntelligent Edgeになり、「化学プラントで危険な薬品がこぼれた」、「工具が危険な状態で置かれている」、「部外者が侵入して機械を操作している」などの危険な状況を画像のリアルタイム分析から検知し、従業員のスマートフォンにアラートを通知して避難を促す様子が紹介された。

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