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Linux/x86プラットフォームで「新しいミッションクリティカル」領域の獲得を狙う

“異次元の信頼性”HPがXeon搭載「Integrity Superdome X」発表

2014年12月10日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本ヒューレット・パッカード(HP)は12月9日、ミッションクリティカル用途向けのXeon E7 v2搭載サーバー「HP Integrity Superdome X」の販売を開始した。長年にわたりHP-UX/NonStop/OpenVMSで培ってきた高信頼性技術/機能を、拡張性の高いx86版Superdomeに実装することで、「新しいミッションクリティカルワークロード」領域への適用を狙う。

「HP Integrity Superdome X」の本体。高さ18Uサイズで、サーバーブレードを最大8台搭載

サーバーブレード(BL920s)。1台あたりXeon E7 v2プロセッサを2CPU=30コア、DDR3 DIMMを48枚=1.5TB搭載できる

 Superdome Xは、高さ18Uの筐体に8つのサーバーブレードスロットと電源ユニット、クロスバーファブリックモジュール、インターコネクトモジュールなどを搭載する。8台のサーバーブレードを搭載した場合、16ソケット/240コア、12TBメモリの大規模なハードウェアリソースを実現する。

 サーバーブレードにはHP独自開発のチップセット「XNC2」を搭載しており、複数のブレードをまたぐCPU間通信も高速に処理する。現行の8ソケットx86サーバーである「HP DL980 G7」比で、最大9倍のパフォーマンスを提供できるとしている。

 また、従来からSuperdome 2が備えるハードウェアパーティショニング機能「nPartitions」も実装している。HPによれば、ソフトウェアベースのパーティショニング(仮想化)よりも耐障害性が20倍高いnPartitionsを利用し、Superdome Xを複数のサーバーに分割した統合プラットフォームとして利用できるようになっている。

 そのほかにも多数の高信頼性機能を実装しており、一般的なx86サーバーと比較して60%のダウンタイム削減が見込めると述べている。

Superdome Xが備える高信頼性機能の一覧。一般的なx86サーバーが備えていない多数の機能を実装

 また、こうした高信頼性機能の大半はハードウェア/ファームウェアレベルで実装されているため、独自の変更を加えていない汎用Linux(Red HatやSUSE)がそのまま動作することも特徴。これにより、ミドルウェアやアプリケーションの互換性にも影響を与えない。

 HP Integrity Superdome Xの最小構成価格(税込)は、2589万円から。

Superdome Xの概要

「ミッションクリティカルの需要はむしろ拡大していく」

 HPでは、ミッションクリティカル用途向けのサーバーポートフォリオとして、すでに「Integrity Supterdome 2」や「Integrity NonStop」といった製品群を展開している。ただし、今回投入されたSuperdome Xはこれらの既存製品を置き換えるものではなく、ポートフォリオの選択肢を拡大するものという位置づけである。

 発表会に出席した日本HPの手島主税氏は、「『ミッションクリティカル市場は縮小していく』という見方もあるようだが、HPとしてはむしろ『ミッションクリティカルの需要は拡大していく』と考えている」と述べ、Superdome X投入の背景を説明した。

日本HP 執行役員 HPサーバー事業統括本部 事業統括本部長 手島主税氏と、米HP エンタープライズサーバービジネス VP兼GM リック・ルイス氏

 手島氏は、現在の動向について、企業の基幹業務を支える従来からのミッションクリティカルワークロードに加えて、“新たなミッションクリティカル”と呼ぶべきワークロードが増えていると述べた。たとえばそれは、リアルタイム経営を実現するビッグデータ処理、社会インフラを支える監視/制御網、コミュニケーションやコラボレーション基盤といったものだ。

 こうした現状に対し、従来からのミッションクリティカル領域にはHP-UX/NonStop/OpenVMSなどの既存プラットフォームを、そして“新たなミッションクリティカル”にx86ベースのSuperdome Xを適用する、というのがHPの考えである。なお手島氏は、HP-UXなど既存のミッションクリティカルプラットフォームについても引き続き投資を行い、信頼性や性能向上を図っていく方針であることを強調した。

手島氏は、新たなミッションクリティカルワークロードが拡大していると説明し、その新領域を支えるプラットフォームがSuperdome Xであると述べた

Project Odysseyで開発表明された“DragonHawk”を実現

 Superdome Xの開発責任者である米HPのリック・ルイス氏は、2011年に発表した「Project Odyssey」(関連記事)で開発意向を示したx86版のSuperdome(コード名:DragonHawk)が、Superdome Xとして実現したと紹介。独自チップセットの開発や入念な検証のために3年もの月日がかかったものの、高いパフォーマンスと信頼性を実現できたと述べた。

 なお発表会にはNEC ITプラットフォーム事業部長の西村知泰氏も出席し、昨年7月に発表したHPとNECとの協業によるミッションクリティカルx86サーバーの開発(関連記事)がこれで完了したと述べた。NECからも、2014年度の第4四半期をめどとして出荷の準備中であるとしている。

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