ソニーは、4K(3840×2160ドット)の映像が撮影できる民生用ビデオカメラと、4K液晶テレビの低価格モデルを発表した。まだまだ縁遠い世界と思われがちな4Kの世界だが、確実にユーザーに近づいている。
ハンディカムブランドで初めて4K撮影に対応する「FDR-AX1」(11月8日発売予定、予想実売価格42万円前後)は、ハイアマチュア向けのビデオカメラ。60p/30p/24pのフレームレートで4K映像を撮れる。
映像は「XAVC S」と呼ばれるフォーマットで記録される。これは業務向け4Kフォーマットである「XAVC」を民生向けに拡張したもので、映像フォーマットにMPEG-4 AVC/H.264を採用する。
XAVCはMXFというプロユースのフォーマットを使用しており、4K(60p)のデータレートは600Mbpsにもなる。だが、XAVC Sだと150Mbpsまで抑えられ、4K映像の長時間録画を可能としている。なお、30p/24pの記録も可能で、その場合のビットレートは高品質で100Mbps、低品質で60Mbpsとなる。
記録媒体は「XQD」メモリーカードを採用。ニコンのデジタル一眼レフのフラッグシップモデル「Nikon D4」に採用されているメモリーカード規格で、理論値で2.5Gbpsという高速速度が特徴(将来的には5Gbpsに対応予定)。また、理論的には2TBを超える大容量化が可能という。
FDR-AX1は64GBのXQDメモリーカードに対して、4K(60p)の映像を約50分記録できる。さらにXQDのスロットを2つ搭載しており、メモリーカードを入れ替えながらリレー方式で撮影し続けることもできる。
本体にはUSB端子とminiUSB端子があり、miniUSB端子はPCと接続できる。Windows PCは同社が無償で提供しているソフトウェア「PlayMemories Home」で4K60p動画の再生が可能。Macは次のバージョンの10.9で「QuickTime X」を使用することで再生できる予定。なお、推奨再生環境はクアッドコアのCore i7を搭載するマシンとなっており、Windows PCの場合はIntel HD Graphics 4000以上のグラフィック性能が望ましいとのことだ。
なお、本機で録画した4K動画を編集できるソフトウェア「Vegas Pro 12 Edit」のシリアルナンバーが同梱されており、ウェブからダウンロードすることで無償で利用できる。
もう1つのUSB端子は外付けUSB HDD専用で、録画したデータをダイレクトにコピーできる。ただし、この機能は発売当初は利用できず、2014年夏頃に実施予定のアップデートで利用できる状態になるとのこと。
また、本機はAVCHD記録用(フルHD)のSDメモリーカードスロットも搭載するが、こちらも発売当初は利用できず、同じく2014年夏頃に利用可能になる予定。それまではフルHD撮影もXAVC Sフォーマットで行なうことになる。
このほか、本機はHDMI端子を搭載しており、(メーカーを問わず)4Kテレビに対して4K映像を出力できる。ただし、現行製品はHDMI 1.4規格の制限で4K出力できるのは30pまで。
しかし、同社の4K液晶テレビ「4K BRAVIA」との接続に関しては別。独自の転送方式を採用することで60pの出力も可能となっている。また、先日発表されたHDMI 2.0対応テレビであれば4K60p出力が可能とのことだ。
4K BRAVIAでは低価格機を投入
そんな4K BRAVIAにも新モデルが登場する。同社は従来機よりも低価格な「BRAVIA X8500A」シリーズを発表した。投入するのは65V型の「KD-65X8500A」(予想実売価格67万円前後)と55V型の「KD-55X8500A」(同42万円前後)の2モデルで、発売日は10月19日の予定。
上位機種の「X9200A」シリーズと比較すると、パネルが「オプティコントラストパネル」から「クリアブラックパネル」となったほか、スピーカーも磁性流体スピーカーからバスレフ型スピーカーになっている。
オーディオについてはホームシアターシステムと組み合わせを推奨しているが、内蔵スピーカーもツィーターとサブウーファーを内蔵する2.1chシステムで、デジタルアンプの「S-Master」を搭載し、バーチャルサラウンド再生も可能だ。
3D表示にも対応するが、X9200Aがパッシブ方式(電源不要の偏光メガネ)だったのに対し、X8500Aはアクティブシャッター方式(バッテリー搭載のシャッター式メガネ)となっている。
そのほかの仕様はX9200Aと同じで、画像処理エンジンは4K対応の「X-Reality Pro」を採用し、NFCやMHLといったスマホ連携機能を搭載する。