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「Data Domain」ミッドレンジ4製品と「Avamar」「NetWorker」で機能強化

EMCがバックアップ関連製品を相次いでバージョンアップ

2013年08月07日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 EMCジャパンは8月6日、重複排除機能を備えるバックアップ/アーカイブストレージ「EMC Data Domain」の新モデル4製品と、重複排除バックアップソリューション「EMC Avamar」、統合型バックアップソフトウェア「EMC NetWorker」の各新版を発売した。Avamar、NetWorkerはData Domainとの統合を強化している。

バックアップ時間は4分の1、論理容量は10倍に

 Data Domain(DD)では、ミッドレンジの4モデル(DD2500/4200/4500/7200)が刷新された。搭載するCPUの性能アップにより、バックアップ時間が従来モデル比で最大4分の1に短縮できる。さらに拡張シェルフが新たに3TBに対応し、長期保存のためのソフトウェアオプション「Extended Retention」も適用可能になったことで、最大で従来比10倍の拡張性を実現している。たとえばDD7200の場合、Extended Retention適用時の最大論理容量は85.6PB。

バックアップ/アーカイブストレージData Domainの新たなラインアップ(DD2500/4200/4500/7200が新モデル)

 またData Domain新モデルは、SAP HANAのデータベース管理ツール「SAP HANA Studio」から直接、NFSを介したバックアップ/リカバリを実行できる。さらに分散重複排除オプションのエージェント「DD Boost for Oracle Recovery Manager(Oracle RMAN)」が、機能拡張によって「Oracle Exadata」やOracleデータベース上で稼働するSAPアプリケーションをサポートした。こうした機能追加により、データベース管理者自身がバックアップ/リストアやDR(災害復旧)を迅速に実行できるようになっている。

 アーカイブ用途では、新たにOpenTextの「Archive Server」「Content Server」、IBM「Content Manager OnDemand」「InfoSphere Optim Archive」、Dellの「Quest Archive Manager」とシームレスに統合し、従来対応製品と合わせて20以上のアーカイブアプリケーションに対応した。

イメージバックアップから仮想マシンを2分で起動

 Avamarの新しいソフトウェア「Avamar 7」では、Data Domainとの統合が強化された。WANバックアップ、リモートオフィス、デスクトップ/ノートPCなどは従来どおりAvamarアプライアンス(Avamar Data Store)にバックアップする一方で、容量の大きな仮想マシンイメージ、各種データベースファイル、NDMP(Network Data Management Protocol)などはData Domainにバックアップする、といった処理が可能になった。

 また、「VMware vSphere」向け新機能として、Webクライアントからのセルフサービスバックアップ/リカバリ操作、新規作成された仮想マシンに対するバックアップポリシーの自動継承がある。さらに、Avamar経由でData Domainに仮想マシンイメージをバックアップした場合、「VM Instant Access」機能を使って仮想マシンを2分程度で起動できるため、DRの可用性が大幅に高まる。

 さらに、Avamarでこれまで存在したブラックアウト・ウインドウ(ジョブが実行できない時間帯)がなくなり、24時間365日いつでもバックアップ/リストアが実行可能になった。

Avamar 7では容量の大きなデータをData Domainにバックアップする機能が追加された

 NetWorker 8.1では、DD BoostエージェントがIP接続だけでなくFC(Fibre Channel)接続もサポートしたため、バックアップとリカバリが従来比で2倍以上高速化する。また、Data Domainとの統合強化により、新たに「仮想合成フルバックアップ」機能が追加されている。

 仮想合成フルバックアップは、NetWorkerから定期的に増分データ(最初に取得したフルバックアップとの差分)を送ることで、Data Domain側で自動的に、仮想的な合成フルバックアップ(関連記事)を行うというもの。仮想的な合成処理で済むため、従来方式の合成フルバックアップ比で処理が90~95%高速だという。

NetWorker 8.1とData Domainの連携により「仮想合成フルバックアップ」機能が追加された

 またマルチテナンシー機能が標準搭載された。複数のユーザーやアプリケーションが、バックアップ環境を共有しつつ隔離されたデータゾーンを持つことが可能になる。なお、NetWorker 8.1ではAvamarの仮想アプライアンス(VBP:Virtual Backup Appliance)を統合しており、上述したAvamarと同等のVMwareバックアップ機能が利用可能だ。

バックアップのフレームワーク

 なお今回より、AvamarとNetWorkerを組み合わせた「EMC Data Protection Suite」としても購入が可能になっている。バックアップ/リカバリシステムを扱うEMCジャパン BRS事業本部 本部長の遠井雅和氏は、同スイートは5月のEMC Worldで発表された「ViPR(ヴァイパー)」(関連記事)のコンセプトに乗っ取った、新しいバックアップフレームワーク(アーキテクチャ)を提供するものだと説明した。

新製品/新機能とフレームワークの関係。遠井氏は、今回の製品/機能がこのフレームワークに沿ったかたちで投入されたことを強調した

 なおBRS事業部の今年度の戦略として、遠井氏は「サイロ型システムから水平統合型システムに向けた提案」「Data Protection Suiteによるクラウド向けバックアップサービスの推進」「VSPEXをはじめとした、パートナー独自のバックアップ/アーカイブソリューションの展開」という3点を示した。

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