中国ではキャリアとの契約で実質0元の無料スマートフォンが各社から出ているおかけで、有名メーカー製のスマホを誰もが持つようになった。
「画面は大きい方がいい」というニーズがある中で、中国メーカーであるレノボ、ファーウェイ、ZTE、CoolPadの5インチスマホまでもが無料となりつつある。そんな中で、ニセモノスマホ――「山寨機」の意義が微妙になってきている。
中国では3ヵ月で日本の年間出荷台数の倍のスマホが売れる
調査会社「易観国際(Analysys International)」によれば、中国での携帯電話販売台数は7329万台で、そのうちスマートフォン販売台数は2012年第4四半期(9~12月)で5696万台だという。
日本における2012年の携帯電話出荷台数が4040万台で、うちスマートフォン出荷台数が2848万台(IDC Japan調べ)なので、中国の3ヵ月分の販売台数が日本の年間出荷台数の倍というすごい数字となっているわけだ。
このため、山寨機と呼ばれるノンブランドスマートフォンは、種類こそ出ているものの、今までほどの勢いはないようだ。
中国人のスマートフォンの使い方を考えるに、PC同様にOSを含め無料ソフトをイチからインストール(ROMの書き換え)するので、プリインストールソフトにこだわることはなく、メーカー製品と山寨機に差があるわけではない。
しかし、いざ壊れたときの保証の有無においてメーカー製品に魅力がある。農村部ですらiPhoneをあつかうキャリアショップがあるくらいだから、Androidスマートフォンも容易に入手ができて、ニセモノを入手する必要はなくなった。
中国でもノンブランドスマホにもはや価値はない!?
本連載でもたびたび紹介している、中国産ノンブランドケータイが集まる深センの「華強北(ファーチャンベイ)」というエリアがある。
新華社の報道によると、「中国国内市場はもとより、中国国外市場においてもメーカー各社のニセモノ対策が強化され、アジア・アフリカの途上国各国では中国のファーウェイやZTEなどが安いメーカー製スマートフォンをリリースしているため、海外においても山寨機が入る隙がなくなっている」とし、華強北には空きテナントが目立つようになったという。
確かに途上国で山寨機のスマートフォンが売れるとは各国を巡っていても考えずらい。途上国の中でスマホを無料で提供するのは中国くらいだ。したがって、スマートフォンを買おうと思えば、安くても日本円にして1~2万円はかかる。
キラーソフトとしてはFacebookが有望だが、Facebookを活用するためにスマートフォンを買うような人はそもそもとして所得が高く山寨機は買わず、フィーチャーフォンでもFacebookアプリは提供されているので、それで事足りる。
「できるビジネスマンやデジタルガジェットが好きでお金に余裕がある人が買う」というアジア各国のスマートフォンに対する雰囲気は、「ザウルス」などのPDAが出ていた頃の日本の雰囲気によく似ている。
実際、深センのマーケットに行ってみれば、新華社の報道通りに、山寨機を扱うビルの上層階になればなるほど、以前よりテナントの空きが目立つ結果となった。
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