グーグルによるiPhone/Androidアプリ「Chrome」が登場
7月2日、東京・六本木のグーグル本社で、スマートフォン向けWebブラウザー「Google Chrome」アプリについて記者発表があった。内容はグーグルのプログラム開発者会議「Google I/O 2012」で発表されたものから。
アプリは先月29日に発表されたものだ。価格は無料。グーグルがOSを開発したAndroidスマートフォン(Android OS 4.0以降)だけでなく、ライバルであるアップルのiPhone/iPadにもアプリを登場させたことで、ユーザーたちを驚かせた(関連記事)。
アプリの注目機能は「同期」だ。アプリを起動したとき、PCで開いていたサイトをそのまま開く。PCで調べた結果をメールしたり、カメラで撮ったりという手間がなくなる。Googleアカウントでログインしている必要はあるが、便利だ。ブックマークもそっくり同じになり、検索履歴も引き継がれるので検索キーワードに“当たり”の候補が出てくるのも早い。
スマホ市場でねらえ「世界の残り2/3」
もともとのGoogle Chromeは、グーグルが3年前に正式発表した、PC向けのWebブラウザー。ユーザーは現在3億1000万人で、いわく世界的に最も使われているブラウザーだ。「Webで暮らす人たちのもとに」というスローガンのもと制作され、得意の検索技術と組み合わせた高速さを売りにしている。
現在、世界のインターネット人口は23億人と言われているが、それは世界の総人口(約71億人)からすれば1/3程度。その「世界の残り2/3」にあたるユーザーは、スマホやタブレットといった「PC以外」の分野からもリーチしてくるのではないかと言われている。
記者会見では今後4年間で200億以上のデバイスがネットワークに接続する可能性があるという試算も紹介していた。グーグルがこれだけモバイルに本腰を入れたことにはそういった背景がある。
※ 記事の中で誤解を招く表現がありました。関係者の皆様にご迷惑をおかけしましたことをここにお詫びし、修正します。(2012年7月2日)
そのスマートグーグルプロジェクトとでも言うべきものの中核が、やはり29日に発表された、グーグルブランドをつけた7型タブレット「Google Nexus 7」(関連記事)であり、そこで標準搭載されるのがまさに今回のChromeアプリだ。
ソフト化していくインターネット、ブラウザーの進化は続く
一方の本家Google Chromeも、HTML 5をはじめとした最新Web技術を取り入れた形で進化を続けている。
現在Gmailやfirestorage、オンライン版のOfficeなど、オフィスウェア業界にもクラウドサービスが浸透しつつある。DropboxやEvernoteなどのように、スマートフォンでも動くことが重要なサービスも増えている。
そのときブラウザーの仕様で「重い」「落ちる」「使えない」となっては使いものにならない。今後も動的な(プログラムのような)サイトへの対応はますます重要な関心事でありつづけるのだろう。
PCとスマートフォン、その両軸を回すことで、ユーザーのさらなる拡大をねらうグーグル。アップル、マイクロソフト、アマゾンといったライバルたちがどう反応し、どんな展開になっていくのかにも注目が集まる。