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ストレージもサーバーと共通の省電力設計を採用

業界の不文律を破る?動作温度40℃に対応するNECサーバー

2011年06月07日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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6月6日、NECは節電を支援するサーバーとストレージの新製品を発表した。3・11の大震災以降、BCPとともに対応に迫られている電力不足という課題を解決すべく、NECが従来から力を注いできた省電力への取り組みをエントリモデルに拡大させた。

省電力にフォーカスしたエントリ向けサーバー&ストレージ

 今回発表されたのは、タワー型サーバー「Express5800/GT110d」、水冷のスリムサーバー「同GT110d-S」、ラックマウント型「同R110d-1E」「同E110d-1」のXeon E3対応の1ソケットサーバー5機種、SAN対応ストレージ「iStorage Mシリーズ」の新モデル「同M100」、低価格ストレージ「M10e」の2機種。全製品が電力消費の削減にフォーカスしており、空調などのファシリティも含め、データセンターの消費電力の最大30%を削減すると謳う。

タワー型サーバー「Express5800/GT110d」

2.5インチディスクを採用した「iStorage M100シリーズ」

 今夏、企業や家庭では電力使用の大幅なカットが必要となっており、前年比で約15%の削減が目標とされている。オフィスや店舗などではエアコンの設定温度アップが必要になるほか、緩和対象となるデータセンターにおいても総量規制への対応のため、省電力機器の導入や未使用機器の停止などが重要になってくる。

NEC プラットフォームマーケティグ戦略本部 統括マネージャー 浅賀博行氏

 発表会で製品概要を説明したNEC プラットフォームマーケティグ戦略本部 統括マネージャー 浅賀博行氏は、NECがすでに5年以上にわたって行なってきた省電力への取り組みを説明。サーバーやストレージの分野においては、ノートPC用のCPUを用いたサーバー製品やディスクのスピンドル停止を行なうMAID(Massive Arrays of Inactive Disks)の早期導入、共有電源ユニットによる電力利用の効率化などを進めてきたという。そして、大震災以降の電力不足という課題を解決すべく、今回はおもにエントリモデルとなるサーバーとストレージ製品に「導入でエコ」「運用でエコ」「空調でエコ」という3つの省電力施策を盛り込んだ。

 新製品では、Xeon E3のような省電力CPUや変換効率の高い80 PLUS Gold電源を採用。サーバー製品では電力の上限値を設定するパワーキャッピングやUPSを用いないスケジューリング運転、さらにOSに依存しないリモート監視機能などを標準搭載した。また、ストレージ製品においては、複製ボリュームやバックアップボリューム、未使用ディスクなどを省電力モードで動作させるMAIDを強化した。たとえば、未使用ディスクではMAIDで省電力にしておくと、プール作成時に通常稼働し、プールを削除すると省電力に変更させるといった制御が可能になる。こうした省電力アーキテクチャはiStorageとExpress5800とで共通のものを採用しており、開発の効率化が実現されているという。

MAID機能を利用した電力消費の削減

40℃の動作環境温度をサポート!約8パーセントの電力削減

 さらに大きいのが、「空調でエコ」にあたる部分で、エアフローや冷却部材の見直しで動作環境温度で40℃をサポートした点だ。これまでサーバーやストレージ製品の動作環境温度は35℃が一般的で、業界の不文律とされてきた。NECは昨年発表したAtomプロセッサー搭載の「Express5800/E110b-M」で業界に先駆けて40℃の動作環境温度を保証してきたが、今回の新製品でも40℃稼働を実現した。

動作環境温度40℃を実現するための工夫

 高温稼働を可能にするため、同社は部材レベルでのパーツ選定と徹底したシミュレーションを実施。二重反転冷却ファンやファンのオフセット配置、大型のヒートシンク、ダクトなどを採用するほか、マザーボードの配置まで徹底的に手を入れた。

 こうした新製品の電力削減に加え、フロアの冷却改善、さらに既存サーバーからの置き換えによるサーバー集約を行なうことで、冒頭に述べたデータセンタでの電力消費30%減が実現できるという。

データセンター空調の節電(試算例)

 その他、セットアップツール「EXPRESSBUILDER Ver.6」や運用管理ツール「ESMPRO Ver.5」、管理チップ「EXPRESSSCOPEエンジン3」などの運用管理ツール等も機能強化された。

デモでわかった省電力機能の威力

 発表会の後半では、プラットフォームマーケティング戦略本部 グループマネージャーの本永実氏が、ワットチェッカーを表示したサーバーとストレージでデモを行ない、MAIDによる未使用ディスクの省電力化、サーバーのパワーキャッピング、スケジュール運転などの省電力機能の実力を披露した。また、ストライピング幅を小分けにして、データを再配置することで、ディスクの追加時に容量と共にRAIDの性能を強化する「アドバンスドダイナミックプール」など、省電力以外の強化もデモが行なわれた。

デモを行なうプラットフォームマーケティング戦略本部 グループマネージャーの本永実氏

 価格(すべて税別)は、タワー型サーバーの「Express5800/GT110d」が8万9400円から、スリムサーバー「Express5800/GT110d-S」が10万4800円から。シングルコントローラーのSAN対応ストレージ「iStorage M10e」が55万8000円からとなっている。

 今後はIT機器のみならず、システム全体、ファシリティ全体の低消費電力化にも努めていくと説明しており、今後もより高いレベルの省電力が実現されそうだ。製品は6月7日から開催される「Interop Tokyo 2011」でも展示される。

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