NokiaとMicrosoftは
来年こそWindows Phoneで流れを持ってこれるのか?
Hall 8ではSamsungが圧倒し、ZTEも存在感を増していた。対照的だったのがLGだ。ブースにはデュアルコアと裸眼3Dを特徴とするAndroidスマートフォン「LG Optimus 3D」、Android 3.0タブレット「Optimus Pad」がメイン(ともにMWCで発表した新製品)だったが、ブースが狭いわりに、その数倍の面積があるSamsungほど混雑していない。3Dケータイには、MWCの来場者はそれほど関心を示さなかったようだ。
ここまで挙げたメーカーで、Nokia以外のメーカーはいずれもAndroidを採用している。Androidはアプリケーションを含むエコシステムが機能しており、端末が増え、アプリが集まり、ユーザーが購入するというサイクルが見事に回っている。以前は2013年にSymbianに追いつくという予想もあったが、調査会社のCanalysはすでに2010年第4四半期にSymbianを押さえてトップに立ったことを発表している。
昨年はNokiaがIntelと「MeeGo」の立ち上げを発表、MicrosoftがWindows Phone 7を発表し、Samsungが自社独自のOSである「Bada」の初搭載機を発表するなど、プラットフォームの戦いによる勢力図の変化の可能性を感じた。だが、今年はAndroid一人勝ちが印象的だった。NokiaはWindows Phone採用を発表したが、端末が出てくるのは今年末、ひょっとすると来年ともいわれている。今年のMWCでは、プラットフォームの戦いに勝負がついたように見えてしまった。
このほかResearch In Motion(RIM)やHPのタブレット端末も展示されており、タブレット市場の盛り上がりも感じた。また、サービス側ではNFCが注目のトピックだった。
日本からは、NTTドコモの山田隆持氏、ソフトバンクの孫 正義氏が同じ日に基調講演を行った。ともに、オペレーターが単なるパイプ役になる“ダムパイプ”化に対する危惧を露にし、成長戦略を語った。
会期中には主催者であり、オペレーターを中心とした業界団体である「GSM Association」の下で立ち上がったWholesale Applications Community(WAC)が商用サービスを発表した。WACはモバイルアプリケーションを集めたカタログで、オペレーターはこれを利用して自社ブランドでアプリストアを展開できる。すでに、8社のオペレーターが実装を表明しており、Androidマーケットへの対抗を狙う。
さてこのMWC、冒頭ではこの時期に開催されるようになった経緯として北欧の参加者の避寒ためと書いたが、来年は会期が遅れて2月最後の週となる。この理由は、現在の会期である2月中旬が中国の旧正月のすぐ後となり、年々増えている中国からの参加者が大変だからということらしい。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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