第3世代の40nmプロセス版「GF110」が登場
GF104で一息ついたのに続いて、2010年11月には40nmプロセスの第3世代となる、「GF110」コアを搭載した「GeForce GTX 580」がリリースされた。機能面では、「Z-Culling」(奥行きの先行判定)とFP16※1テクスチャフィルタリングに関して性能改善が施された程度の差に止まる。
※1 画素の色や透明度を決めるαRGBの各値が浮動小数点16bit。
しかしスペックで言えば、CUDAコアがフルスペックの512コアになったほか、動作周波数も若干引き上げられている。それにも関わらず、TDPは250Wから244Wへと若干だが引き下げられた。プロセスそのものは同じ40nmなので、これは物理設計の最適化、おそらくはレイアウトレベルから完全にやり直したためと思われる。ダイサイズもGF100の529mm2から、520mm2とごくわずかながら縮小をはたした。
前回のコラムでも軽く触れたが、本来ならばこの時期には、NVIDIAとAMDは32nmプロセスへ移行しなくてはならなかった。レイアウトからの再設計をしている暇はなかったはずだ。ところが、TSMCが32nmプロセスをスキップして28nmに移行してしまったため、空いた期間を使って40nmプロセスの再設計できたというわけである。先行したGF104における知見も、ここでは役立っただろう。
同時に、ほぼGeForce GTX 480と同等スペックとなる一部シェーダ無効版「GeForce GTX 570」もリリースされた。こちらのTDPは219Wとされており、プロセスの見直しでほぼ30Wほど減った計算になる。
GF110コアと同様に、GF104のアーキテクチャーをそのままにZ-Cullingやテクスチャフィルタリング機能を変更したのが、先日発表されたばかりの「GF114」コアで、「GeForce GTX 560Ti」としてリリースされた。
もっともGeForce GTX 560Tiは、GeForce GTX 460よりもシェーダーの構成などがやや増やされているため、NVIDIAとしてはGeForce GTX 470の後継製品という位置づけになっているようだ。また、久々に「Ti」の接尾辞がブランドとして登場しており、ここから察すると、さらに無印や「SE」ブランドの560シリーズが登場する可能性もある。
これに続く最新の製品が、「GF118」コアベースの「GeForce GT 440」である。あえて500番台ではなく400番台を付けてきたのは、構成的にはGeForce GT 430の延長にありながら、動作周波数の引き上げなどで(OEM向けの)GeForce GTS 440以上の性能を叩き出す、と見られるからだろう。
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