実は以前から搭載端末が存在した「NFC」
2011年はようやく離陸の年となるか?
NFCは、日本で普及しているソニーの非接触ICカード技術「FeliCa」の上位規格となる。双方向通信が可能なため、情報の読み取りだけでなく発信もできる。いわゆるおサイフケータイ機能に加え、端末同士で情報を交換でき、映画や製品のポスターに組み込まれているタグにかざし、その映画や製品に関する情報を入手する、といったサービスも想定されている。
さらにNFCはPhilipsの「Mifare」とも上位互換がある規格で、2003年に国際標準規格(ISO)に承認されている。ちなみにNFCを搭載した携帯電話はNexus Sが初めてではない。古くはNokiaの「Nokia 6131 NFC」(2007年リリース)など、実は以前から存在するのだ。
ソニー、Philips、Nokiaは2004年にNFC Forumを立ち上げ、NFCの普及に努めてきた。だが離陸は遅れている。理由は単純で、対応端末とサービスが利用できる環境の両方の足並みが揃わないからだ。NFCをサポートした端末はまだ一般的ではなく、サービス側も数年前から世界各国でクレジットカード会社やバス/電車などの交通機関を中心に数多くのトライアルがスタートしているが、商用サービスはいまだに少ない。
だが、Android 2.3が明らかになる前に、Nokiaも「2011年に発表するすべての端末はNFCに対応する」と表明している。とすれば、2011年以降、普及に一気に弾みがつくかもしれない。
グーグルはなぜパートナーにSamsungを選んだのか?
Nexus Sに話を戻すと、当初“Nexus Two”としてGoogleの二号機がうわさされていたとき、メーカーはMotorolaといわれていた。それがどういう経緯でSamsungになったのかが気になっている。
SamsungのGALAXY Sはアメリカだけで300万台を売り上げた大ヒット端末だ。Googleにしてみれば、Samsungというブランドとすでに消費者から評価されている製品に似た製品を自社ブランドで販売することで安全圏を狙える。一方、Samsungにしてみれば最新技術(つまりAndroid 2.3)情報を他社より早く手に入れられるというメリットがある。これらが合致したのだろうか。
なお、そのSamsungは2011年にも、デュアルコアCPUを搭載したフラッグシップ端末を発表すると伝えられている。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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