IntelとNokiaが共同で立ち上げた組み込みLinuxの「MeeGo」は、「Core OS」と呼ばれる基盤部分をベースに、ネットブック向け「Netbook UX」、携帯電話向け「Handset UX」と、端末セグメントに合わせたユーザーエクスペリエンス層を持つ。
このうち最初(バージョン1.0)に登場したのはNetbook UXだが、10月に公開されたバージョン1.1ではNetbook UX、Handset UXに加えて、さらに車載情報システム向け「In-Vehicle Infotainment(IVI) UX」も加わっている。
今後のスマートフォンプラットフォームを占う上で注目されているのは、やはりHandset UXの動向だ。11月にアイルランド・ダブリンで開催された「MeeGo Conference 2010」についてはすでに一度記事にしているが(関連記事)、今回はHandset UXのプロダクトマネージャーを務めるSami Pienimaki氏(NokiaにおけるMaemo Devices製品マーケティングのプロダクトマネジメントトップ)にHandset UXプロジェクトのこれまでと今後の計画について聞いた。
オープンなプロジェクトであることを強調する
「MeeGo」
まずPienimaki氏は、MeeGoはオープンなプロジェクトであり、コミュニティへの貢献によって成立している点を強調する。「プロジェクトがやっていることが参加者全員にわかる仕組みがある、ということを確実に実行している。カスタマーとサプライヤーの関係ではなくコミュニティプロジェクトなので共同作業だ。MeeGoのHandset UXはコミュニティによるコードへの貢献のドキュメンテーション(記録)といえる」。
2010年2月にMeeGoが発足し、5月にバージョン1.0が公開されたあと、Handset UXは6月30日にDay 1として開発をオープンにした。その後、タッチ操作を可能にする「MeeGo Touch Framework」を統合し、10月にバージョン1.1として初公開した。IntelとARMのリファレンスハードウェア上で開発し、3Gなどの携帯通信、WiFiやBluetoothなどの無線技術、主要なスマートフォンアプリケーションなどを含んでいる。
Handset UX 1.1は、どちらかというとリファレンス的な位置づけのようで、実際にこれを用いた商用レベルの製品はまだない。スマートフォン市場で他の端末と競合できるレベルにするには、「UIの作り込みなど、かなりの作業が必要になる」とPienimaki氏も認める。Core OSがもっと安定する必要があるとしながらも、1.1は今後の土台となると説明した。
2011年4月に予定している次期バージョン1.2ではより完成度を高め、アプリケーション開発に「Qt」の宣言的言語拡張「QML」を利用できるよう前進させる。QMLにより、C++を使わなくとも容易に動的な視覚効果に優れたアプリが開発できるという。このほか、カメラ、オフィスビューア、パッケージ管理、バックアップ、プラットフォームセキュリティ、共有のためのフレームワークなどを加えることを検討しているとのことだ。
また、ハードウェアプロファイルも重要な作業となる。Handset UXプロジェクトではバージョン1.2までにMeeGoの仕様でハンドセットハードウェアプロファイルを定義することにしており、現在レビュー中という。ハードウェアの最小要件(RAM 512MB、ARMまたはx86のCPUで600MHz)に加え、タッチ画面、OpenGL ES 2.0を利用したグラフィックハードウェアアクセラレーション、メディアハードウェアアクセラレーション(これは推奨)などが機能候補に挙がっているとのことだ。
さらには、2011年10月に公開予定のバージョン1.3では、LTE/CDMAと無線側の機能を強化したいという。