“尖ったパソコン”の中国メディアの扱い方
徹底的に「軽・薄・長時間駆動」を目指したソニーの「VAIO X」。ASCII.jpの記事をはじめ、様々なメディアが使用レポートを行ない、分解し、制作者インタビューを敢行。メディアは独りよがりではビジネスにならないわけで、そうした記事があるということは、読者の「中を見てみたい」「モノ作りのこだわりや苦労話を聞きたい」というニーズがあるわけだ。筆者も個人的事情さえ許せば入手したいと思っている。そして「薄くて軽いよね、よくこんなの創っちゃうよね」と語ってみたいものだ。
さて中国の話。中国人には潜在的な先進国コンプレックスがあるのか、先進国になれていないという被害妄想からか、話題の製品は他国と同時発売でないと気が済まず、(日系企業を含む)外資系企業がオフィシャルページすらも本国と同様の手の込み具合でないと、「あの企業は中国を馬鹿にしている!」と憤怒に満ちあふれた掲示板スレッドがいくつもできあがり、ニュースに取り上げられる。そんなわけで多少のタイムラグはあれ、「type 505 EXTREME」や「type U」などは中国でも発売されたし、ほかにも富士通から「LOOX U」が発売された。
ところが中国においては、“尖った”パソコンの中国版が発売された直後でも、中国メディアはレビュー記事こそあれ、分解記事やモノ作りインタビュー記事は滅多に掲載されない。勘違いして欲しくないのは、日本企業の製品だからメディアの扱いが悪いのではない。中国メーカーの製品もまた同様であり、今はレノボの「ThinkPad」も作り手のこだわりを紹介することはほとんどない。
理由の1つとして「取材」の意味そのものが日中で異なる点が挙げられる。筆者自身の中国企業への取材経験を照らしてみても、中国企業の日本進出時の発表会を顧みても、中国のそれは質疑応答はなく、「どれだけ新製品がすごいか」を偉い人がつらつら並べて終了というケースが一般的だ。
あまり深掘りして欲しくないというのはあるだろうし、ニセモノがすぐ出回る中国だから制作秘話は漏らしたくない、というのもあるかもしれない。メーカーやネットベンダーへの新製品の取材記事が稀にあるが、その内容は大抵「その商品はどれくらい売れそうか。同業者のライバルについてどう思うか」という点である。中国の消費者はモノ作りの苦労話よりもそこに興味がある。
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