消えた45nm版Celeron
Athlon Neo対抗で復活の可能性も?
ややこしいのは、またもバリューセグメントである。まずPentium Dual-Core向けにはWolfdaleの2次キャッシュを2MBに削減し、SSE 4.1を無効にしたコード名「Wolfdale-L」というコアが投入される。投入当時は800MHz FSBのみだったが、Core 2 Duo系列がほぼ完全に1333MHz FSBに移行したことを受けて、1066MHz FSB版のPentium Dual-Coreも今後投入される予定だ。
とはいえ、Pentium Dual-Coreの全量が1066MHzに移行するというわけではなく、せいぜい「高クロックの2.93GHz版が2009年末に投入されるかどうか?」といった程度だろう。また、後述するコード名「Nehalem」世代のCPUも、Pentium Dual-CoreやCeleron向けには(少なくとも2010年中は)投入されないようで、結果として2010年いっぱいは、Wolfdale-LベースのPentium Dual-Coreのラインナップが維持されると考えられる。
一方のCeleronだが、当初はWolfdale-Lの2次キャッシュをさらに削減した製品、コード名「Perryville」が投入されるという話があったのだが、これは事実上撤回されてしまっている。現在のロードマップで見る限り、2010年あたりまでは65nmプロセスを使うAllendale-512KコアのCeleron Dual-Coreが発売され続けるもようだ。
推測される理由としては、インテルの45nmプロセスの需要が逼迫しており、低価格のCeleronまで生産していられないという事情もあるのだろう。面白いのは65nmプロセスはむしろ空いていることで、だからといって製造ラインを潰すにはまだ早すぎるので、Celeronをここに留めておこうという事かもしれない。ちなみに、65nmプロセスが空いているのは、チップセット(MCHやGMCH)やCore i3(2010年登場予定のNehalemベースデュアルコアCPU)で統合されるGPUなどが、65nm世代を飛ばして、いきなり90nm世代から45nm世代へ移行したことも理由として挙げられている。
ただし、ネットブック/ネットトップ市場では、AMDのネットブック向けCPU「Athlon Neo」に対抗するために、現在のAtom Nシリーズ(コード名Diamondville)の性能の引き上げが必要と判断された場合は、Perryvilleの動作周波数を低めにして消費電力をAthlon Neo並みに下げて、ネットブック市場向け投入するという話も持ち上がっている。このあたりは、需要と供給のバランス次第でいつでも変更できるものと思われる。
デスクトップにCore 2の6コアはなし
Core i5は6月にも発表?
最後にハイエンドデスクトップ市場の今後に触れておこう。まずCore 2 Extremeに関しては、現在はCore i7 Extremeで置き換えられているので、Core 2シリーズから今後新製品が投入される可能性はないだろう。
技術的な話をすれば、インテルは2008年9月にコード名「Dunnington-hexa」と呼ばれるWolfdaleベースの6コアCPUを、Xeon X7460/E7450/L7455として出荷している。これはWolfdale(2次キャッシュ3MB版)を3つと、共有3次キャッシュ(最大16MB)をひとつのダイに集約した(MCMではない)CPUだ。同時に、Wolfdaleを2つ+共有3次キャッシュを搭載した「Dunnington-QC」と呼ばれる4コアの製品も発表されている。
これらは4CPU ソケットのサーバー向け「Xeon MP」シリーズの製品であるが、これをハイエンドデスクトップに転用するという可能性もあったわけだ。しかし、まずコスト的に見合わないうえ(Extreme向けの価格は約10万円が定石。一方Xeon X7460は発表時で30万円を超えている)、Core i7の発表が迫っていたので、無理にCore 2ベースの6コアを投入しなくても、と判断されたのだろう。
一方、Core 2 Quadの市場については、Nehalemアーキテクチャーの新CPU「Core i5」シリーズが、Core 2 Duoの市場には「Core i3」シリーズが、それぞれ投入されることが決まっている。ただ、Core 2 Quad/Duoの全量が、一気に置き換えられるわけではなさそうだ。そもそもCore i5/i3共に予定がやや遅れており、特にCore i3に関しては2010年の投入にずれ込んでしまった。おそらくは2010年1月初旬に米国で開かれる展示会「2010 International CES」で発表というあたりだろう。
Core i5は、6月2日から台湾で開かれる「COMPUTEX TAIPEI」あたりで発表されると思われる。Core i5/i3ではプラットフォームが一新される(ソケットはLGA1156)が、これへの対応が全然進んでいないからだ。結果として、少なくとも2010年前半は、引き続きCore 2 Duoが現行のラインナップのまま発売され続けると思われる。
2010年後半のラインナップは、「Core 2 QuadがどれだけスムーズにCore i5に置き換わるか」によって変わってくるだろう。これがスムーズであれば、2010年6月くらいにはメインストリームをLGA1156に、バリュー向けには現Core 2 Quad/Duo用プラットフォームのLGA775をPentium Dual-Core/Celeron専用として置き換えが進むだろう。しかし、スムーズに進まなければ、置き換えが起きるのは2010年末~2011年にかけてということになると思われる。
次回は今後の主力となるCore iシリーズのロードマップについて解説しよう。
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