ATOKはどんどん賢く、そして人は忘れていく?「入力支援機能」
「pengin」と入力して変換してみると、0番候補に正しい綴り「penguin」が表示される。 |
続いて、ますます便利になった入力支援機能を見ていこう。従来から、「Shift」キーを押しながらA~Zのアルファベットキーを押すと、アルファベット入力モードに自動的に切り替わっていたが、ATOK14からはこのアルファベット入力モードで変換キーを押すと、候補ウィンドウの一番下に出る0候補に、スペルチェック後の正しい英単語を表示してくれるようになった。
自信のない英単語も入力時からに校正できるので、文書作成後のスペルチェックを省ける。
推測変換機能に郵便番号辞書が対応し、郵便番号を入力すると即座に変換候補として住所をツールチップで表示してくれる。Shift+Enterで素早い住所入力が可能だ。 |
過去の入力&確定履歴から、入力中の文字列と同じものを推測して正しいと思われる文字列を素早く表示する「推測変換機能」に、「郵便番号辞書」が対応した。
郵便番号辞書は前バージョンでも搭載されており、郵便番号の入力後に「F3」キーを押すことで住所への変換が可能だった。14では推測変換機能に対応したことで、郵便番号を入力すると該当する住所がポップアップ表示され、より便利に素早く使えるようになっている。
“おせっかい”機能「JUST MEDDLER」も4にバージョンアップ
JUST MEDDLERは、「たべれない」と入力して変換すると、漢字変換した文字列の後ろに赤い文字で「ら抜き表現」と表示するというように、“正しい日本語”を指摘してくれる校正支援機能だ。そのJUST MEDDLERも「4」にバージョンアップされた。ちなみにMEDDLERは英語で「おせっかい屋」という意味である。
二重敬語もさ入れ表現もしっかり指摘してくれる「JUST MEDDLER4」 しどろもどろになりがちな敬語・丁寧語もせめて文章くらいはきっちりと“正しい日本語”で書きたいものだ。 |
今回の「4」では、丁寧な言葉遣いのつもりで誤って書いてしまいがちな「二重敬語」と「さ入れ表現」を指摘してくれるようになった。二重敬語は、必ずしも誤りではないが丁寧すぎておかしいため、一般には使わない表現。さ入れ表現は「読まさせていただく」のように、本来入れるべきではない「さ」が入った表記で、これは現在の日本語文法では誤りとされている。
この機能を活用すれば、得意先や取引先にこうした表現を含む“恥ずかしい文書”を送ってしまう失敗も防げるだろう。
早速、“わざと”誤読したまま文字入力してみた。うーん、さすが。画面は「ねんぼう」「じゅんぷうまんぽ」「いっちょういちゆう」と入力した結果。 |
このほか、おせっかいついでに慣用句などの誤読も指摘してくれるようになった。思いこみによる誤読のまま文章を入力しても、きっちり正しい読みを教えてくれるのは大変ありがたいが、ある意味ATOKに自分の無能さを指摘されているような気がするのも否めない。
メーラも指定対象となった「AI辞書トレーナー」
AI辞書トレーナーでは、ファイルのほかに「メール」「インターネット」が指定できるようになった。インターネットはHDD内のキャッシュフォルダから用例を取り出す。 |
文書ファイル内の未登録語や人名のAI用例を学習する「AI辞書トレーナー」も、その対象をメール文書やアドレス帳、過去に閲覧したWebページまでに広げ、よりパワーアップしている。
対象として指定可能なメーラは、Microsoft Outlook Express 4.0~5.5、Netscape Messenger(Netscape Communicator4.0x~4.7x添付版)、Microsoft Internet Mail、Shuriken Pro/2.x/1.0である。
新ユーザーインターフェイスの「プロパティ」画面
これまでダイアログボックスで行っていた設定は、ツリー表示の項目をクリックして各種設定項目を切り替える方式になった。 |
ATOKのプロパティ画面も、ユーザーインターフェイスを一新。左側に項目がツリー表示されるようになり、選んだ項目ごとに右側の設定表示が切り替わるので、さらに増えた設定項目も選びやすくなった。
従来のインターフェイスに慣れたユーザーには、変更したい項目がどこに格納されているのかが少々わかりにくい気もするが、設定項目ごとに表示されるダイアログボックスをいちいち閉じる手間が省けて、一度に複数の項目の設定変更ができるという利点がある。
文字パレットの「漢字検索」タブで、部首を手書きで入力できるようになった。 |
「文字パレット」は、入力しづらい異体字や記号の入力が簡単にできることが特徴だが、今回は部首や偏で探し出せる「漢字検索」に、手書きを対応させた。部首だけでも画数を数えるのが面倒な複雑な文字の場合も、この手書きを使えばあっという間に候補が絞り込まれて、目的の文字がすぐに探し出せる。