アメリカでは最近、「こんなのあるといいな」と誰もがつね日頃思っていた安いガジェットが次々と発売されている。もちろんインターネット関連商品だ。まずはソニーから発売された『eMarker』。これ、たった$19.95ドル。
●ラジオから流れる曲名をゲット!
『eMarker』は、キーホルダーになっていてボタンを押すと、そのときに流れていたラジオの曲名を、後からパソコンで調べることができるという優れもの。
どうやってやるの? と私も疑問に思ったけれど説明を聞いて納得。
まず、ユーザーはeMarkerをUSBにつなぐ。そのあとwww.eMarker.comで登録を済ませ、ソフトをダウンロードする。で、自分の住む地域の郵便番号を利用して、eMarkerの提携ラジオ局から、自分の聞きそうなラジオ局を3つほど選んでおく。アメリカでラジオを聞くのはほとんど車の中だから、運転しながら流れてくるお気に入りの曲があれば、eMarkerのボタンをポンと押しておく。eMarkerはボタンが押された“正確な”時間を記録するだけだ。
で、家に帰ったら(あるいは仕事場についたら)、これをUSBにつないでeMarkerのWebを立ち上げると、ボタンが押された時間を利用することで、自分の選んだラジオ局からお目当ての曲が出てくるという仕組み。
なんだ、非常に簡単な仕組みではないか。もちろんWebから直接、Amazon.comやCDNOW.comでもって、気に入った曲の入ったCDを買える。
●バーコード情報からインターネットにアクセス
もうひとつは『CueCat(キューキャット)』。
これはキーボードのコネクターに繋げる(もちろん、キーボードと併用する)。実際のところはタダのバーコードリーダーなんだけれど、雑誌やら、コーラやら、CDやらについているバーコードを読み込むと、それに関連するWebページにアクセスできるというもの。いたって簡単だ。
でも、製品だけでなくて、雑誌や本のバーコードもOKだし、雑誌の中の記事、カタログ、便利なところではオーディオやらパソコンなんかの取り扱い説明書についているものなど、バーコードさえあれば読めるのだ。いちいちタイプしないで済むからとても便利である。雑誌、ワイアードやフォーブスの購読読者には無料で配られたりして、製造元は2000年末にはなんと1000万個を配布するそう。
が、便利さにはもちろん代償があるというのもお忘れなく。CueCatにはそれぞれシリアルナンバーがついている。雑誌購読者などの場合は、そのシリアルナンバーと住所や氏名などが一致するわけだから、その人がどのWebページを訪れたかを全部記録できるのだ。製造元はそんなことはしない、と言っているけれど、プライバシーグループから抗議を受けているのも事実。
日本とアメリカの流行商品って、やっぱり少し違っているな、というのが感想でした。
笠原利香(かさはら・りか)プロフィール
'89年にアメリカに移住し、'94年からパソコン関係、特にこちらではハッカーと呼ばれている人々の記事を多く書いている(ちなみに、アメリカと日本ではハッカーという言葉の使い方が違っているので注意)。連載には『ファミ通Wave』、『Asahiパソコン』(不定期連載)、最近終了した『PC Computing』などがある。『ハック!! ハッカーと呼ばれた青年たち』(ジャストシステムズ)という単行本も出版。