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JBuilder 4 Enterprise試用レポート

2000年09月30日 03時51分更新

文● 渡邉利和

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 JBuilder 4へのバージョンアップのポイントを、Enterpriseを例に見ておこう。もっとも目に付く点は、エンタープライズアプリケーション開発の支援機能が充実したことだ。Java Servlet、JSP(Java Server Pages)、EJB(Enterprise JavaBeans)といったサーバサイドコンポーネントの作成が容易に行なえる。Servlet API 2.2、JSP 1.1、J2EE(EJB1.1)など、最新の規格をサポートしている点も、新バージョンにふさわしいところだ。特にEJBのビジュアル開発のサポートは今バージョンから追加された機能であり、JBuilderに慣れた開発者にとってはEJB開発も同じインターフェイス上で作業できるようになったメリットは大きいだろう。データベーススキーマからエンティティBeanをビジュアルに作成するEntityBeanモデラや、動的EJB配布機能の提供など、比較的敷居が高いといわれるEJB開発を支援するための機能も充実している。

画面7 「ファイル」メニューから「新規」を選ぶと表示されるウィンドウ。作成可能な成果物の種類を選ぶと、ウィザードが立ち上がる

画面8 画面7の状態で「エンタープライズ」タブを選択すると、EJB関連のアイコンが並ぶ。従来通りCORBAオブジェクトの作成もサポートしているが、インストール時にIASかVisiBrokerのどちらかを選ぶようになっており、それによって作成できる内容も変わる。VisiBrokerをインストールすれば、CORBAオブジェクトの作成がサポートされるはずだ

画面9 サンプルとして形だけ作ったJSPファイル。サンプル用のデモアプレットを貼ったただけだが、ブラウザで見るのと同様の表示が確認できる

 なお、これに関連してInprise Application Server 4.1(IAS)が搭載されるようになったことも重要だ。EJBはもちろん、ServletやJSPを実際に利用するためには、サーバ側の動作環境が必須になるため、単体のクライアントマシンで開発からテストまでをすべて行なうのは困難だった。今回IAS 4.1が組み込まれたことで開発からテストに至る作業の大半が開発者の手元で実行可能になり、開発効率の向上が見込まれる。

 また、ソースコントロールシステムとして定評のあるCVSとの連係機能の追加など、チーム開発をサポートする機能も強化された点も、エンタプライズアプリケーションの開発者にとっては見落とせないはずだ。

 JavaのRAD環境として十分な実績のあるJBuilderの新バージョンということで、一見派手さはないものの、着実な進歩を遂げているといえるだろう。特にエンタープライズアプリケーションの開発環境がめざましく充実した点は、アプリケーションサーバでEJBサポートが事実上標準となった現状の反映と考えられるが、時宜を得た適切な改善と評価できる。

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