このページの本文へ

より高い稼働率、完全無停止を目指すシトリックス

XenServer 5でエンタープライズも仮想化

2008年10月16日 04時00分更新

文● 新 淳一/企画報道編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
山中理惠氏

シトリックス・システムズ・ジャパン マーケティング本部 本部長 山中理惠氏

 マイクロソフトが仮想化の導入率を今後1年で25%にするという話を伝えたが(関連記事)、仮想化の世界はどこもかしこも右肩上がりらしい。Citrix XenServerの新バージョン「Citrix XenServer 5」を10月4日にリリースしたシトリックス・システムズ・ジャパンは、記者発表会でXenServerのビジネス状況について説明。マーケティング本部 本部長 山中理惠氏は「チャネル経由の売り上げは四半期ごとに倍増。トレーニングを受講したリセラーは、6カ月で300社から3000社へと10倍も伸びた」と明かした。

 山中氏によれば、今後2011年くらいまでに、サーバー仮想化の適用範囲は現在の中規模な領域からミッションクリティカルな分野、あるいは小規模な分野まで拡大していくという。その中でXenServer 5は、とくにエンタープライズ領域での利用に耐えるよう、ハイアベイラビリティー性能(高い稼働率を実現する能力)を強化したそうだ。今後はグリーンITクラウドコンピューティングなど、時代のニーズにあった拡張を考えていくという。

 また、山中氏はマイクロソフトとの協業についても紹介。XenServer 5がマイクロソフトの「Server Virtualization Validation Program(SVVP)」の公式な認定を取得したことを発表した。SVVPにより、ユーザーはXenServer 5上で稼動するWindows Serverやマイクロソフト製サーバーアプリケーションのテクニカルサポートを、マイクロソフトから物理環境上と同様に受けることができるようになる。山中氏は、「マイクロソフトと協調してやれるところはやっていきたい。特に中堅以下のところで一緒にやれるのではないか」との考えを示した。

 以上のようにXenServer 5は、大から小まで、あらゆるサーバーに対するソリューションを提供するというポジションにある。だが最大の特徴といえば、やはり大規模運用に向けた機能強化ということになる。具体的には、Enterprise EditionとPlatinum Editionでの話になるが、フェイルオーバーと仮想マシンの自動再起動の機能が搭載されている。これにより、仮想マシンが落ちただけなら数秒で自動的に再起動でき、またハードウェアに障害が発生した場合でも、自動的に別のサーバーで仮想マシンを約1分ほどで再起動してサービスを引き継げるという。そのほか、マラソンテクノロジーズ社との共同開発により、「完全無停止」を実現するオプションを2009年に提供する用意があるそうだ。

 また、XenServer 5では運用管理の効率化も図られている。まず、ネイティブ対応できるストレージシステムの対象製品として、従来のNetAppのほかDell EqualLogicが加わり、ともにXenServerの管理ツール「XenCenter」から直接制御できるようになった。ネイティブ対応した結果、スナップショットなどの作業速度が向上するという。また、検索ツール「XenSearch」を搭載。仮想マシンのステータスを容易に把握したり、検索結果を属性に応じてソートしたり、タグ付け、グループ分けもできるようになった。

Provisioning Server

Citrix Provisioning Serverでは、ファーム内に複数のグループを構成し、それぞれの階層的構成単位で管理権限を付与できるようになった

 そのほか、仮想マシンや物理マシンに対して、OSやアプリケーションのイメージをネットワーク経由で一括展開する「Citrix Provisioning Server」もバージョンが5.0に上がった。ファーム内に複数のサイト、デバイス、vDiskプールなどといったグループを構成して、それぞれの階層的構成単位で管理権限を付与できるようになった。

 Citrix XenServer 5 Standard Editionの価格は17万6715円、Enterprise Editionは58万9050円、Platinum Editionは98万1750円(いずれも1サーバーあたり。XenCenter管理コンソールと1年間有効なSubscription Advantageが含まれる)。また、無償バージョンのExpress Editionの同時稼動ゲストOS数の制限を撤廃し、ゲストOSあたりのメモリーを4GBから32GBに、最大物理メモリーを4GBから12GBに拡大した。Citrix Provisioning Serverは、Platinum Editionに統合して提供するほか、単独製品としても提供する。Provisioning Server for Datacentersは2万9452円、Provisioning Server for Desktopsは19万6350円(いずれもターゲットサーバーあたり)。

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード