数%のサーバ利用率を60%に上げる
仮想化によってサーバの利用率を上げる――。一般に、1台あたりのサーバの利用率は数%から10数%といわれています。そもそも、なぜそれほどまでに利用率が低いサーバが増えてしまったのでしょうか。パソコンユーザーの感覚では、「マルチタスクなのだから、単純に1台のサーバで複数のアプリケーションを実行すればいいのでは?」との素朴な疑問も湧きます。
この疑問に、宮原さんは「簡単にいえば、“1対1”、つまり、1サーバに1アプリケーションで管理する方が分かりやすい。そこで、目的ごとにサーバを立てるのが当たり前になっている」と説明します。OSとアプリケーションの安定した組み合わせによる稼動や、障害対応の際の問題の切り分けといった観点から、サーバを増やした結果、台数が膨れ上がってしまったのです。
「100%とは言わないまでも、仮想化によってサーバ1台あたりの利用率を60%程度まで高めることができれば、電力もスペースも相当な削減ができる。運用管理者だけでなく、会社全体でも見てもメリットは大きいはず」(宮原さん)。
コンシューマとエンタープライズをつなぐ線
ここまで話を伺っていると、コンシューマの世界で仮想化がブレイクした理由と、エンタープライズの世界とのそれとでは、まったくの関係がないようにも思えます。そのあたりを宮原さんに尋ねてみると、まったく関係がないともいえないようです。
宮原さんによると、少し前まで、技術者の間でも『VMwareなんて使ったことない』『仮想化なんて分からない』といった声が多く、仮想化の考え方は定着していなかったのでそうです。それが、「コンシューマでの仮想化を知る人たちが増えたことで、技術者の間で、仮想化の概念やメリットがイメージしやすくなってきています」(宮原さん)。
言い換えれば、VMware FusionやParallelsといったコンシューマの仮想化ソフトのブレイクが、「サーバの乱立」という事情から始まったサーバ仮想化を広げるのに一役買った――と捉えることもできるかもしれません。