インテル(株)は5日、マルチプロセッサー(MP)サーバー向けのクアッドコアCPU『クアッドコア インテル Xeon プロセッサー X7350』など6製品を発表した。MPサーバー向けでは初の、“インテル Core マイクロアーキテクチャー”採用CPUであり、消費電力あたりの性能の高さを特徴とする。
“クアッドコアXeon 7300番台”のCPUパッケージ。コード名は“Tigerton”。ヒートスプレッダーの下には2つのダイがある
クアッドコアXeon 7300番台を搭載したサーバーのデモ機
同社のMPサーバー向けCPUは従来、Pentium 4系列の“NetBurst”系のアーキテクチャーを採用していた。それが今回の新製品で、ついにパソコン用CPUやデュアルプロセッサー(DP)サーバー用CPUと同じCoreマイクロアーキテクチャーを採用したことになる。CoreマイクロアーキテクチャーはNetBurstと比べて、消費電力あたりの処理性能の高さを特徴としており、新しいMPサーバー向けXeonも、その特徴を踏襲している。
同日、東京都内で開かれた記者説明会で同社代表取締役共同社長の吉田和正氏は、新CPUの登場について「ユーザーから必要とされているプラットフォームを、この時期に合わせられたことに関しては、とてもよかったのではないかと思っている」と述べ、仮想化などのトレンドやユーザーニーズに対応できるCPUを市場投入することに自信を示した。
クアッドコアXeon 7300番台のダイ写真と主な特徴
クアッドコアXeon 7300番台を搭載したシステムのブロックダイアグラム。メモリーにはFB-DIMMを採用する
今回発表されたクアッドコアXeonはいずれもCore 2 Quadプロセッサーと同様に、パッケージ上に2つのCPUダイを乗せて、各ダイ上に2つのCPUコアと2次キャッシュメモリー(各ダイごとに2～4MB、合計4～8MB)を搭載することでクアッドコアを実装している。動作クロック周波数は、最高速のクアッドコアXeon X7350で2.93GHz。製造プロセスは65nmで、システムバス(FSB)の動作周波数は1066MHzに対応する。64bit拡張“Intel 64”や、ハードウェア仮想化機能“インテル バーチャライゼーション・テクノロジー”(VT)などの技術もサポートする。
今回の製品ラインナップはTDP(熱設計時消費電力)の違いによるバリエーションが3種類用意されている。最高性能を追求したクアッドコアXeon X7350はTDP 130W、それ以外の主な製品はTDP 80Wで、さらに低消費電力を重視したTDP 50Wの『クアッドコアXeon L7345』もラインナップされている。前世代のデュアルコアXeon 7140M(3.40GHz、TDP 150W)と比べると、性能面ではクアッドコアXeon X7350で約1.87倍、消費電力当たりの性能では、クアッドコアXeon L7345で約2.25倍にもなるという。
クアッドコアXeon 7300番台と従来のXeonの性能比較。特に消費電力当たりの性能比較では、TDP 50WのL7345が抜群の性能向上を示している
製品バリエーションと1000個受注時の1個当たりの価格は以下のとおり。本日から出荷を開始している。
- クアッドコア インテル Xeon プロセッサー X7350
-
動作クロック周波数：2.93GHz｜2次キャッシュ容量：8MB(4MB×2)
TDP：130W｜価格：26万9000円 - クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E7340
-
動作クロック周波数：2.40GHz｜2次キャッシュ容量：8MB(4MB×2)
TDP：80W｜価格：23万1000円 - クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E7330
-
動作クロック周波数：2.40GHz｜2次キャッシュ容量：6MB(3MB×2)
TDP：80W｜価格：16万3000円 - クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E7320
-
動作クロック周波数：2.13GHz｜2次キャッシュ容量：4MB(2MB×2)
TDP：80W｜価格：13万7000円 - クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E7310
-
動作クロック周波数：1.60GHz｜2次キャッシュ容量：4MB(2MB×2)
TDP：80W｜価格：10万円 - クアッドコア インテル Xeon プロセッサー L7345
-
動作クロック周波数：1.86GHz｜2次キャッシュ容量：8MB(5MB×2)
TDP：50W｜価格：26万9000円
