「画像を回転させる技術」が出発点
ここに至るまでには、前史があります。開発者のとりにくさん(tori29umai)が5月5日、Framepackで風景画像を回転させられるのではないかと「FramePack_rotate_indoor」というアプリを公開しました。これは画像を回転させるよう学習させたLoRAをFramePackの専用アプリとしてまとめたものです。
そこでさらに、動画生成中の任意の静止画を取り出せることもわかってきます。そのためとりにくさんは、カメラの動きだけに注力したLoRAを作ります。そして5月22日に発表したのが、入力画像から「時計回り、反時計回り、アオリ、俯瞰」などのカメラ位置を変化させた画像を出力できる「AICameraRot」でした。
— とりにく (@tori29umai) May 5, 2025
△部屋の画像を入力すると、それを回転させることを実現している動画
一枚の絵を、時計回り、反時計回り、アオリ、俯瞰にカメラを移動させるアプリできた!!!
— とりにく (@tori29umai) May 21, 2025
今週の土日にexe版を公開します!!!!!(たぶんCUDA対応GPU(VRAM16GB↑)、メモリ64GB位↑はほしい)
フォロワのKALIN様(@kozukiren)よりご提供いただいたイラストで検証 pic.twitter.com/bHxpYHoe03
△AICameraRotで実現できている別角度のカメラに切り替えている画像。別角度に切り替えてもキャラクターの一貫性が保たれている

作例。上段中央の画像が元画像で、時計回り(左上)、反時計回り(右上)、アオリ(左下)、俯瞰(右下)。キャラクターの雰囲気がそのままうまく再現されている。元画像は896x1152だが、544x704で生成されている
漫画家の野火城(のびしろ)さんは、本棚のある部屋の風景を試しています。カメラ位置を変えた場合でも、簡単に一貫性を保って変化させられたと報告しています。ただし、動作にはVRAM 16GB以上の高スペックなビデオカードが必要なようです。
とりにくさんの画像回転アプリ試させてもらったんですが、本当に初心者でもボタン一つでインストールして使える優れものです!
— 野火 城@AI漫画 (@nobisiro_2023) May 22, 2025
このように面倒な本棚系背景も一貫性を保てて、生成画像→更に回すの繰り返しで横なら360度回転できそう
※ただしVRAMは16GB必須。12GBでは厳しい https://t.co/MLYYlsu3utpic.twitter.com/kjzF36HmsW
この手法が画期的なのは、一貫性の高さです。これまでの画像生成AIは、拡張機能「ControlNet」を使った画像コントロールが試されていましたが、1枚の画像からの推定では、一貫性を保ちながらカメラ位置を変えることができませんでした。Midjouneryの画像参照機能「Omni-Reference」も高い評価を集めていますが、それでも限界がありました。
ところが、動画生成AIの技術と組み合わせることで、それを実現できることがわかったのです。ChatGPTの画像生成機能「4o Image Generator」も、指示によって画像の角度を変更できますが、類似の技術が使われていると考えられています。

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