Googleフォトなどの個人データからも学習か
グーグルが他社のサービスを圧倒するリアリティをどうやって実現しているのかが気になってきます。
ここからは筆者の推測になりますが、ネットから収集した公開情報だけでなく、Googleフォトなどの個人データからも学習していると考えられます。Googleフォトは2015年にサービスとして開始され、2021年5月までは無料・無制限で画像をアップロードできるサービスとして展開、2021年6月からは15GBまでは無料という方針で運営されています。当初無料で運用された重要な目的には、グーグルがAI用の学習データを収集するという目的があったのではないかと推測されています。
現在のGoogleフォトには機能追加されてきた顔認識や場所のカテゴライズ、被写体の中身が何であるのかといったタグ付けが自動でされるようになっています。これらの技術は生成AI関連の技術が多く含まれます。
グーグルはGoogleフォトをAI学習に利用しているかどうかを一切明らかにしていません。
ただ、利用規約には、グーグルの権利として「ユーザーのコンテンツに対する使用許可」という項目があります。そのなかで「ユーザーのコンテンツに修正(形式の変更、翻訳など)を加えて二次的著作物を作成すること」があり、目的として、「サービスを運営し改善するため」としており、「これには、自動化されたシステムやアルゴリズムを使用してユーザーのコンテンツを分析することも含まれます」となっています。もちろん、この項目以外に「プライバシーポリシー」が定められており、グーグルが安全性に配慮しているということもアピールされています。
そのため、基本的にはGoogleフォトに投稿されているデータを使う権利をグーグルが持っていると読める内容になっています。Midjourneyなどと比べても圧倒的にリアルな画像を出せているのは、それだけ、手元で使うことができる学習データに規模の差があることが推測できます。
ただし、グーグルはMidjourneyやFLUXなどと異なり、Imagen 3をアートやホビー向けに出しているわけではないでしょう。グーグルはImagen 3を、広告などの法人向けのビジネスなどに使うことを想定しているのだと思います。フィルターの強さを見ても、画像生成AIとしては使いにくく、直接的な競合として競争するのは難しいと思えます。ただ、世界で最も強力な画像生成AIの一つを持っているという意味は、マイクロソフトやアップル、メタなどと争う上で非常に強力な武器であることは間違いありません。

この連載の記事
-
第132回
AI
画像生成AI:NVIDIA版“Nano Banana”が面白い。物理的な正確さに強い「NVIDIA ChronoEdit」 -
第131回
AI
AIに恋して救われた人、依存した人 2.7万人の告白から見えた“現代の孤独”と、AI設計の問題点 -
第130回
AI
グーグルNano Banana級に便利 無料で使える画像生成AI「Qwen-Image-Edit-2509」の実力 -
第129回
AI
動画生成AI「Sora 2」強力機能、無料アプリで再現してみた -
第128回
AI
これがAIの集客力!ゲームショウで注目を浴びた“動く立体ヒロイン” -
第127回
AI
「Sora 2」は何がすごい? 著作権問題も含めて整理 -
第126回
AI
グーグル「Nano Banana」超えた? 画像生成AI「Seedream 4.0」徹底比較 -
第125回
AI
グーグル画像生成AI「Nano Banana」超便利に使える“神アプリ” AI開発で続々登場 -
第124回
AI
「やりたかった恋愛シミュレーション、AIで作れた」 AIゲームの進化と課題 -
第123回
AI
グーグルの画像生成AI「Nano Banana」は異次元レベル AIコンテンツの作り方を根本から変えた -
第122回
AI
動画生成AI「Wan2.2」の進化が凄い アリババが無料AIモデルの牽引者に - この連載の一覧へ







