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Premium-Line B760FD-Mini/T/D5をレビュー

i7-14700&RTX 4070の静音グラボを内蔵する10.4Lの小型PCはWQHDでもゲームが快適

2024年01月28日 10時00分更新

文● 宮里圭介 編集●ジサトライッペイ/ASCII

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【2024年2月9日編集部追記】Core i7-14700の電力設定はインテル推奨設定で出荷

 その後、Premium-Line B760FD-Mini/T/D5の試用機材で採用しているCore i7-14700の電力設定(PL1=253W、PL2=253W)について、サイコムに問い合わせたところ、製品版ではインテル推奨設定(PL1=65W、PL2=219W)で出荷することがわかった。

 そこで、電力設定をインテル推奨設定にすると、性能はどうなるのかいくつか再度検証したので掲載する。まずはCINEBENCH R23(10分間試行してからスコアーを算出するデフォルト設定で検証)からご覧いただこう。

CINEBENCH R23の結果(PL1=65W、PL2=219W)

 Multi Coreテストで19673pts、Single Coreテストで2078pts。PL1・PL2=253W設定時(Multi Coreテスト:26507pts、Single Coreテスト:2083pts)と比べ、Multi Coreテスト時のスコアーが大幅に減っている。では、この時のCPU温度も見てみよう。

10分間のMulti Coreテスト終了直前の様子(PL1=65W、PL2=219W)

 PL1・PL2の値はしっかりインテル推奨設定になっており、実際のCPUの消費電力を示す「CPU Package Power」を見てみても、その設定に沿うように動いていた。しかしながら、CPUパッケージ温度は100度に達し、サーマルスロットリングも起きていた。

 つまり、電力設定を定格まで下げても、全コアに長時間負荷がかかると、Noctuaの「NH-L9i-17xx」では冷却不足になってしまうということだ。しかし、「Average」(平均値)を見てみると、CPU Package Powerは約68W、CPU温度は73度と、PL1・PL2=253W設定時(約130W、99度)よりもだいぶ下がっている。

 もちろん、そのぶんCINEBENCH R23では性能もがっつり下がったわけだが、ゲームなどの少数スレッドの用途はどうだろうか? FF14ベンチマークとFF15ベンチマークで試してみた。

FF14ベンチマークの結果(PL1=65W、PL2=219W)

FF15ベンチマークの結果(PL1=65W、PL2=219W)

 FF14ベンチマークは13222スコアー、FF15ベンチマークは13041スコアーと、PL1・PL2設定時から1%ほど下がった程度。インテル推奨設定でもしっかりビデオカードの性能を引き出せていると言っていいだろう。

 以上で、再検証を終了する。動画エンコードなどの全コア負荷が長く続く前提の用途なら、さらに電力設定を下げてサーマルスロットリングを回避してもいいかもしれない。逆に、短時間で終わる作業なら、試用機材の初期設定のように値を上げるという手段もある。

 しかし、それ以外の用途ならインテル推奨設定でも十分頼りになる性能だし、CPU温度は低く、消費電力は低いに越したことはない。本機は小型PCの中では抜群の性能を誇るが、用途によってその最適設定は大きく変わる。この絶妙な部分を楽しめるPC巧者には強くオススメしたい。

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