乱立する企業のWebサイトをWeb基盤統合でととのえる
サイト移行や運用ルール作成も任せられる「CMSプラットフォーム統合サービス」の魅力
2022年10月31日 09時00分更新
クラウドやCMSが一般化してきた反面、Webサイトのセキュリティやガバナンスが行き届かないという企業は多い。高速・セキュアなWebサイトを実現するKUSANAGIをベースにWeb基盤を統合する「CMSプラットフォーム統合サービス」を展開するプライム・ストラテジー 企画開発部 取締役 相原知栄子氏に、Webサイト統合の悩みやサービスのメリットについて話を聞いた(インタビュアー ASCII編集部 大谷イビサ)。
乱立するWebサイト、セキュリティやガバナンスは大丈夫?
大谷:まずは昨今の企業サイトの課題についてお伺いします。
相原:数年前は、クラウドに移行するのか、CMSを導入するのかという議論が中心だったのに、今ではクラウドやCMSを使うのが当たり前になっています。でも、便利に使える反面、企業が運用しなければならないWebサイト自体はどんどん増え、乱立してしまうという状況に陥りつつあります。CMSに関しても、WordPressもあるし、スクラッチもあるし、プラットフォームもバラバラという状態です。
一方、今の企業サイトは単なる情報提供のみならず、収益を上げたり、ブランディングに寄与する重要な存在です。こうした中、乱立したWebサイトを統合管理し、いかにセキュリティやガバナンスの要求を満たすかという課題が、ますます顕在化しています。
大谷:先日取材したSUBARUでもまさに同じ課題感をお持ちでした(関連記事:SUBARUが考えるWebガバナンスと基盤統合の意義)。
相原:そうでしたね。そして、最近私たちにご相談をいただく担当者さまは、どこも「Webサイトが乱立してしまっていて、どこでどんな運用がされているかわからない」という課題感をお持ちなんです。
何年か前にとあるゲーム会社の担当者さまとお話した際に「ゲームタイトルが増えるたびにWebサイトが増えるんだけど、もはや把握できない」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。このコメントが、私の中で「CMSプラットフォーム統合サービス」を考える原点になっているのかもしれません。
担当者が辞めてしまったり、サービスが終了したりして、管理されないWebサイトとなってしまうと、ハッキングや改ざんにさえ気づきません。実際、私たちが引っ越し作業を手伝っていたところ、改ざんされてしまったサイトに出会うこともありました。
大谷:攻撃に気づかず、いつの間にか他社サイトを攻撃するリレーサイトになってしまいますからね。
相原:こうした事態に陥らないようにするためには、運用ルールも必要になるのですが、あまりガチガチにしてしまっては、自分たちの首を絞めるだけですし、かといって何も決めないわけにはいかない。でも、Webサイトを管理する情報システム部の方は忙しいので、ルールを運用する手間はかけたくないというジレンマに陥ります。しかも、Webサイトの運用を外部のベンダーに委託している場合は、両社で運用ルールを作成して、徹底しする必要があります。
こうした課題感を抱える多くの企業は、複数のWebサイトの運用を統合しようと考えます。でも、当然ながら関係者との調整やサイトの引っ越しには膨大な時間とコストがかかります。しかも5年かけて統合プロジェクトを走らせた場合、5年経ったら初年度のWebサイトは5年古くなってしまいます。
大谷:とにかく負荷のかかるプロジェクトなんですね。想定以上に工数がかかるという意味では、サイト移行は「サグラダファミリア」なのかもしれません(笑)。
相原:とてもいい例えですね。技術的な面ももちろん大きいのですが、Webサイトのプロジェクトはとにかく関係者が多いので、意思統一を図るのが大変です。私の経験上、1サイトの移行でも止まってしまうことも少なくないので、数十サイト、数百サイトの規模になると、プロジェクトが止まってしまうどころか、始めることさえ難しくなったりします。
他社にはなかなかできないCMSプラットフォームの統合
大谷:こうした課題を解決するのが、プライム・ストラテジーの「CMSプラットフォーム統合サービス」ですよね。具体的にはどのようなサービスなんでしょうか?
相原:まず対象となるWebサイトの調査からスタートします。お客さまからリストをもらって、サイトの現状を調べます。
運用ルールの策定などもガチガチではなく、ここまでやればセキュリティも確保して、運用の柔軟性も確保できますというレベルのプランをご提案します。あとは決めたルールに沿ってKUSANAGIの基盤を構築し、Webサイトを移設していきます。
基盤にはセキュリティを考慮してWAFや改ざん検知などを導入することも多いです。サイトの移行では、単純に移行するだけではなく、アプリケーションの最新化のほか古い環境(ミドルウェア)で動作していたものは最新の環境で動作するように調整します。社内システムなどと連携している場合には連携の調整なども行なっていきます。アプリケーションを担当するベンダーさんがいらっしゃる場合には、コミュニケーションをとりながら進めさせていただきます。
テストでは私たちではわからない普段の運用に沿って確認をいただき、必要な修正を行ないます。特にお客さまの協力が必要なフェーズですのでスケジュールを調整して進めることが大切だと考えています。運用に入ると、日々の監視や障害対応はもちろんのこと、定期的なアップデートやご希望があれば定期的な脆弱性診断なども行います。
大谷:そもそも、なぜ御社がこうしたサービスを始めたのでしょうか?
相原:他社ではあまりできないからです。Webサイト統合の話はユーザー企業から制作会社に相談されることも多いんです。ただ、制作はともかく、サイトの統合や移行はあまり得意ではないため、私たちに相談いただくことがすごく増えています。
クラウドやレンタルサーバを展開しているプラットフォーム事業者さんからも相談をいただきます。ユーザー企業から話をもちかけられるのはありがたいけど、やはりWebサイト統合のノウハウがないとか、プロジェクトが途中でスタックしてしまった結果、私たちをご紹介いただくパターンです。
大谷:なるほど。Webサイトを統合したいユーザー企業が困っているだけではなく、作業を委託される制作会社や、サービスを提供するプラットフォーム事業者も、困っているという状況なんですね。
相原:はい。もともと私たちはKUSANAGIというWeb基盤を用いたマネージドサービスで、お客さまのWebサイトの運用をお手伝いしてきましたので、サイト移設のノウハウがあります。KUSANAGIはWordPressの運用が有名ではありますが、他のCMSにも対応しており、これまでもWordPress以外のサイトもお預かりしてきました。
私たちとしてはKUSANAGIというCMS基盤がすでにあるので、比較的安価なコスト、短い納期でのサイト移行をすることが可能なのです。さまざまな実績もあるし、私たちならお客さまの課題を解決していけるのではないかということで、KUSANAGIへの移行プロジェクトを「CMSプラットフォーム統合サービス」としてサービス化しました。