少ないスタッフで迅速な顧客対応を実現した現場ITの効果
どんな呼び出しも耳で確認 GiGOのゲーセンを変えたデジちゃいむとBuddycomの連携
2022年10月06日 10時00分更新
ゲームセンターでスタッフが気軽に呼び出せないという事態に陥ったことはないだろうか? 今回取材したGiGO(ギーゴ)のゲームセンターでは、QRコードでスタッフを呼び出せる「デジちゃいむ」と、高機能なトランシーバーアプリ「Buddycom」を用いることで、少人数のスタッフで迅速な顧客対応を実現した。GiGO 新宿歌舞伎町にお邪魔した。
QRコードからスタッフを手軽に呼び出し
GENDA GiGO Entertainment(以下、GiGO)は、セガのゲームセンター事業を引き継ぎ、「GiGO(ギーゴ)」のブランドでゲームセンターを全国展開している。そんなGiGOが運営するゲームセンターに導入したのは、ワスドの「デジちゃいむ」だ。名前の通り、飲食店などで客がスタッフを呼ぶチャイムをデジタル化したもので、QRコードを使ってスマホからスタッフを呼び出すことができる。
ゲームセンターに足を運んだ人ならわかるだろうが、客からスタッフを呼びたくなる場面は意外と多い。取材したGiGO 新宿歌舞伎町の池原達司店長は、「クレーンゲームでちょっと難しいとか、狙い方がわからないとか、ゲームが故障したとか、両替機の場所はどこですかなど、実はけっこうな頻度でお客さまから呼ばれます」と説明する。
デジちゃいむ導入前は、客側からスタッフを呼び出す手段が用意されていなかったため、近くのスタッフに声をかける必要があった。しかし、店舗が広くてうまくスタッフを探せないことも多い。また、音が大きくて、大きな声を出さないとスタッフに気がついてもらえないこともある。こうならないため、スタッフ側も客の状態を常時“察する”必要があるため、お互いにストレスが溜まるような状況もあった。
今回、GiGOではゲーム機や壁にデジちゃいむのQRコードを配置し、顧客からの呼び出しに迅速に対応できるようにした。ゲーム機や壁に設置されたQRコードを読み込めば、スタッフを呼び出しボタンがスマホの画面に現れる。客側は大声を出さなくとも、すぐにスタッフを呼べるようになり、スタッフ側も呼び出した客の位置がすぐわかるため、いち早く現場にたどり着けるという。
「ゲームセンターに必要なもの」と導入を即決
GiGOがデジちゃいむを検討し始めたのが2020年3月。代表のメールアドレスに来た営業メールに関心を持ったGiGOが、メーカーであるワスドにコンタクトをとったのがきっかけだった。導入を担当したGiGO事業戦略部 部長の河合 英雄氏は、「話を聞いた瞬間に、ゲームセンターならではの接客の課題を解決してくれる素晴らしい製品だと直感しました。おりしも、コロナ禍で大声を出すのがはばかられていた時期でしたし、アナログな呼び出しボタンを触れるのに抵抗感のあるお客さまもいたはず。ですので、導入は即決いたしました」と河合氏は振り返る。
もちろん、店舗でも使われているボタン型のチャイムも選択肢としてはあったが、ハードウェアは1台ごとにコストもかかるし、壊れたら交換が必要になる。その点、デジちゃいむはQRコードなので、好きな場所にいくつでも設置できるというメリットがある。また、店舗当たりの月額料金になるため、QRコードはいくつ用意してもコストに跳ね返らないという。
QRコードで使えるチャイムのニーズや課金体系などは、ゲームセンターに通じていなければ商品企画自体が難しい。その点、ワスド代表取締役の盛島昇太氏は、大学時代にゲームセンターでアルバイトをしていたため、ゲームセンターの事情には精通していた。「今のゲーム機って背が高いので、店内だとスタッフが見えないんです。お店の人をわざわざ探しに行くのであれば、ゲーム機ごとにQRコードを取り付けた方が早いと感じていました」とコメントする。
GiGOでのテスト導入はコロナ禍で全店休業した後の2020年7月頃、まず3店舗でスタート。その後、30~40店舗ずつ対象店舗を追加して、順次規模を拡大し、2021年12月にはほぼすべての店舗に展開をし終えた。コロナ禍ということで、100店舗の店長を集めてオンラインの説明会を実施したため、後半の導入スピードは一気に上がったという。
河合氏は、「デジちゃいむに関しては、導入に積極的だった店長も多かったため、口コミの効果は大きかったですね」と語る。池原店長も、「スタッフは世代的にもデジタルデバイスに慣れていますし、世代の上のわれわれもつねに新しいデバイスやゲーム機に触れていましたので、苦労はなかったです」と振り返る。
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