「帯域保証型」「定額料金制」「モバイルキャリア冗長化」の特徴でSD-WAN/DX/クラウドシフトに対応
Colt、法人ユースケースに適した4G/5Gインターネット接続サービス発売
2022年10月05日 07時00分更新
Coltテクノロジーサービス(以下Colt)は2022年10月4日、インターネット経由でのクラウド利用やSD-WANに最適化されたモバイルインターネット接続サービス「Colt IP Access 4G/5G Wireless Access」を発表、同日より販売を開始した。
Coltの4G/5G Wireless Accessは、従来の一般的な4G/5Gモバイルアクセスサービスとは異なり、「帯域保証型」「定額料金制」「モバイルキャリア(MNO)の冗長化」といった法人のユースケースで活用しやすい特徴を持つ。日本を含む世界約90カ国で同一のサービスが利用できる点も特徴。
記者発表会では、現在の企業において進行するトレンドとして「ネットワークトランスフォーメーション」「デジタルトランスフォーメーション(DX)とクラウドシフト」の2つを挙げたうえで、今回の新サービスを含むColtのIPアクセスサービス群、SD-WANサービス、今年提供開始予定のSASEなどが、企業のそうした動きを支えるものとして紹介された。
ビジネスユースケースに適した特徴を持つモバイル接続サービス
今回発売された4G/5G Wireless Accessは、重要度の高いビジネスユースケースに適したモバイルインターネットアクセスを提供するサービスだ。
1つめの特徴として定額料金制が挙げられる。データ通信量の制限あり/なしの2プランがあるが、いずれの場合も月額料金は定額としており、大量のデータ送受信によってその月の料金が高額になったり、速度制限がかかったりすることはない。
2つめの特徴は帯域保証型である点だ。同サービスでは2Mbps~300Mbpsの帯域品目がラインアップされているが、通信速度はベストエフォート型ではなく「契約帯域の50%以上」が保証されている(SLA上、それ以下に下がった場合は「障害」扱いとなる)。
さらにモバイルキャリアの冗長化という特徴も備える。同サービスで顧客側に設置されるモバイルルーターには、標準で2枚のSIMがセットされ、プライマリ側のキャリアで障害が発生した場合にはバックアップ側のキャリアに回線を自動的に切り替えて通信を継続する。なお、具体的に利用するキャリア2社については、実際の設置環境でサイトサーベイを実施したうえで決定するという。
そのほか、24時間365日の運用監視、ルーター故障時の現地交換対応、SLAの提供といった特徴も備えている。
Colt プロダクト・マネージャーの田中雄作氏は、既存のモバイル通信サービスは低価格ではあるものの「ベストエフォート型」「従量課金型」「データ量上限到達時の速度制限」「24時間365日の運用監視なし」といったものであり、「企業活動における主要な通信やアプリケーションを使用するうえで、企業から求められる要件を出し切れていないという現状がある」と指摘し、Coltの4G/5G Wireless Accessはそうした課題を解消するものだと説明した。
同サービスのターゲットとしてColtでは、日本全国に拠点を持つ製造業、卸・小売業、建設業、不動産業、およびそれらの企業をエンドユーザーとするSIベンダーを挙げている。また、アジア、ヨーロッパ、北米、中東、アフリカなど約90カ国で同一サービスの提供が受けられることから「海外拠点を持つ日本企業にも提案していく予定」(田中氏)だと述べた。
また適用先のユースケースについては、レガシーのWANサービスからSD-WANに移行する、あるいはSASEを用いてセキュリティを強化するといった「ネットワークトランスフォーメーション」、IaaS/PaaS/SaaSを活用した「デジタルトランスフォーメーションとクラウドシフト」の2つを挙げている。なお、有線回線との組み合わせによるインターネット接続の冗長化についても、Coltから一元的に提供できることもアピールした。
ネットワークトランスフォーメーション、DX/クラウドシフトのトレンドを支援
Coltテクノロジーサービス 代表取締役社長の星野真人氏は、ネットワークトランスフォーメーション、デジタルトランスフォーメーションとクラウドシフトという2つの大きな法人市場のトレンドが、コロナ禍を経て「激しく動いている」と指摘した。
「コロナ禍の中でクラウドシフトが進み始めた最初の2020年は、企業の皆さんも(その先が)どうなるかわからなかったのでネットワークには手を着けなかったケースが多い。しかし、2021年の頭からいろいろなプロジェクトが動き出すのが見えており、クラウドシフトを中心として、ネットワークトランスフォーメーション、デジタルトランスフォーメーションが進んでいる」(星野氏)
その傍証として星野氏は、Coltのインターネットバックボーンを流れるトラフィックのデータを紹介した。法人利用では47%が「クラウドサービス」、また20%が「CDN/CASB」となっており、「合計すると70%程度がクラウド向けのトラフィック。おそらくこれはコロナ前とは大きく変わっている」(星野氏)という。
こうした動きに対応するColtのソリューション群も紹介した。まずネットワークトランスフォーメーションに対しては「Colt SD WAN」サービスを主軸に、そのアンダーレイを構成する有線/無線接続、そして「Colt SASE Gateway Solution」(今年中の提供開始予定)がある。またデジタルトランスフォーメーションとクラウドシフトについては、上述したインターネット接続サービスに加えて、クラウドトラフィックの優先オプション、主要クラウドサービスへのピアリングを含む閉域接続サービス「Colt Dedicated Cloud Access」などをラインアップしている。
なお今回発表した4G/5G Wireless Accessの販売価格については、利用帯域や利用地域(国)により価格が異なってくるため「要見積もり」としている。また販売目標については「今年中にグローバルで100社、日本で30社」の導入を目指すと述べた。