著作者:Freepik
セキュリティソフトを入れて終わり、ではない
スマートフォンが普及した現代では、連絡だけでなく、買い物や調べ物など、持っていないと不便が生じることもある。シニア世代の中には「むずかしそう」と二の足を踏んでいた人もいるかもしれないが、「LINE」など家族とやり取りするメッセージアプリの必要性などで切り替えた人もいるのではないだろうか。
また、コロナ禍以降、「Zoom」などで遠方の人とビデオ通話をするために、PCを購入し、利用している家族も多いだろう。
しかし、スマートフォンやPCを利用するシニア世代を狙うサイバー犯罪は多い。メールやSMSから相手を狙うフィッシング詐欺や、SNSのアカウントの乗っ取りなどには、気をつけなくてはならない。
マルウェア、フィッシング攻撃など脅威からデバイスを保護するための、包括的なセキュリティソリューションを入れるのは肝心だ。それぐらいはやっている、スマートフォンやPCを購入した店舗に勧められて導入した……という人も多いはず。
もっとも、ソフトを入れておけば、すべての攻撃を防げるわけではない。使っている人間が不用意な行動をすれば、そこにつけこまれてしまうこともある。
まず、注意したいのはメールやSMS経由のネット詐欺だ。金融機関からの連絡や、宅配便の不在通知を装うものが増えているほか、コロナ禍以降は「給付金がある」とうたったり、WHO(世界保健機構)を名乗ったりするものが多い。
そういったメールやSMSは、いかにもそれらしい文面で書かれているだけでなく、そのリンクから移動した画面も、本物そっくりにできていることがほとんどだ。もし、その画面でIDやパスワードを入力してしまえば、セキュリティ関連のソフトを入れていたとしても、サービスに不正アクセスされてしまう可能性がある。
よって、「危険なので、急いで手続きするように」という内容のメールが来たら、そのメールからではなく、公式の連絡先を調べてから確認すべき。そういったメッセージのリンクをタップ/クリックして移動した画面で、IDやパスワードを入力してはならないことを肝に銘じよう。
この手の詐欺を防ぐために、よく利用するサービスには、ブラウザのブックマークや、公式のアプリなどからアクセス、ログインするようにしたい。
日頃から行動を決めておくことで、被害を防ぐ
また、「動画をよく見る」という場合、使用している映像サイトやアプリが合法で安全であることを確認しておきたい。違法なアプリは法律上問題があるばかりか、不正なプログラムをダウンロードさせるように設計されたものもあるからだ。
無料の動画コンテンツを視聴できるように見せかけた不正サイトから、アプリケーションなどをダウンロード、インストールしたつもりが、それは不正なプログラムだった……というケースもある。ネット上にうまい話はない。
SNSのアカウント乗っ取りにも注意だ。たとえば、TwitterのDMや、Facebookのメッセンジャーに、「私が見つけたものを見て」というメッセージなどを添えて、動画のような表示が送られてくる。見ようとすると、IDとパスワードの入力を求められることが多い。そもそも、動画や画像を見るだけで、SNSのIDとパスワードが必要になることは考えにくい。
もちろん、それはニセの表示。この手のケースでは、URLや画像をタップしないことだ。TwitterのフォロワーやFacebookの友達からこういったリンクが来ることもあるが、相手がアカウントを乗っ取られている可能性がある。「変だな」と思ったら、可能であれば、相手に「こういうメッセージが送られてきたが……」と確認してもよい。
PCを使っているなら、注意したいのが「サポート詐欺」。標的のPC画面に、「あなたのPCがウイルスに感染している」などと偽の警告を表示し、サポートの連絡先に見せかけた番号に電話させたり、不正なサイトに誘導したりするものだ。
ポイントは、警告画面が表示されても、画面に表示されている指示にすぐ従わないこと。画面が消えない場合は、ブラウザを強制終了するか、パソコンを再起動しよう。自分が導入しているセキュリティソフト以外の通知は、基本的に無視する。「ソフトなどの購入に誘導する」ものは、詐欺だと考えてよい。
また、記載されている電話番号に電話をかけたり、犯人側が要求するソフトのダウンロードやインストールをしたりせず、メーカー公式サイトなどに掲載された番号にかけることが肝心だ。
スマホやPCのセキュリティに関する話題では、よく「気をつけよう」と言われる。しかし、気をつけるだけですべての詐欺が見抜けるわけではない。最近のサイバー犯罪は以前よりも巧妙になっており、リテラシーのある人でも気づけないものが出てきている。
「メールやSMSのリンクは、タップ/クリックしない」「送信者に『これを送ったのか』と確認する」「購入をうながされたら無視するか、他人に相談する」など、日頃から行動を決めておくことで、サイバー犯罪の被害に遭う可能性はぐっと減らせる。
今回はMcAfee Blogから「シニア世代がデジタルプライバシーを守るための7つの方法」を紹介しよう。(せきゅラボ)
※以下はMcAfee Blogからの転載となります。
シニア世代がデジタルプライバシーを守るための7つの方法:McAfee Blog
スマートスピーカー、オンラインバンキング、位置情報追跡機能。シニア世代になると、デジタル技術の飛躍的な進歩になかなかついていけず、日々の生活の中で遭遇すると戸惑ってしまいます。デジタルライフをより身近なものとして受け入れられるシニア世代の子供にとって、親がオンライン上で常に安全でいれるようにサポートすることは1つの挑戦ともいえるでしょう。
総務省の公式ホームページに掲載されている内閣府政府広報室の「情報通信機器の利活用に関する世論調査」によると、シニア世代はこのデジタル社会にどんどん対応してきてはいるものの、依然として普及率は20〜30代の若いユーザーに及ばず、デジタル格差も残っています。また、この調査では70歳以上の方がスマートフォンやタブレットを利用していない理由として、「使い方がわからない」が実に4割以上にものぼりました。また、別な理由としては、約4人に1人が「情報漏洩や詐欺に不安があるため」とも回答しています。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大している現代では、人との接触を避けるために生活の中での様々なものが急速にデジタル化しつつあり、それに対応する能力が必要とされています。
プライバシーパス:理解と安定性
シニア世代になると、テクノロジーに対して恐怖心が芽生えて怖気づいたり、完全に避けようとしたりしがちになります。しかしながら現代では、医療や銀行、小売業のほとんどがデジタル化され、もはやデジタルライフに触れることなく生活することは不可能になりつつあります。
それでも、前に進むためにできることはあります。どんな挑戦でもそうですが、まずは少しずつ始めてみることが大事です。デジタル分野での理解と安定性を高めるために、地に足をつけて基礎から学んでみましょう。しっかりとした知識を身に付けることで、情報漏洩やマルウェア攻撃、オンライン詐欺に対しての恐怖心を減らすことができます。ここではプライバシーを守るための7つの方法をご紹介します。
オンライン上でプライバシーを守る7つの方法
1. 複数の防御対策を導入する
ペアレンタルコントロール(保護者による制限)やウイルス対策ソフトは、家族間のデジタルライフにおけるあらゆる年齢やパターンを網羅しており、以下はその理由です。
1. もし、ネットサーフィンをするのが好きなシニア世代の方が不適切なコンテンツに遭遇するのが嫌な場合、ペアレンタルコントロールは迷惑なものをブロックしてくれます。
2. フィルタリングソフト(条件検索機能)はPCをきれいな状態に保ち、ウイルスやマルウェアから保護します。
3. もし、オンラインショッピングの制限やソーシャルメディア内での個人情報の非公開、フェイクニュースの共有などに悩んでいるシニア世代の方の場合、ペアレンタルコントロールを使用することで不適切なサイトをブロックしてくれます。
2.パスワードを更新して保存しておく
定期的にパスワードを更新するということは、オンライン上のプライバシーを保護する点においてとても重要です。ただし、唯一の問題点は全てのパスワードを記憶しておくのは大変ということです。そこで、パスワードを変更するリスクは避けたいので、パスワードマネージャー(PM)の導入を考えてみてはいかがでしょうか?(パスワードマネージャーが付いているパッケージソフトを探しましょう)。パスワードマネージャーは、お気に入りのサイトやアプリにログインする際のユーザー名とパスワード情報を記憶し、パスワードを覚える必要がなくなるので、セキュリティ対策という意味でも頻繁に気軽にパスワードを変更できるようになります。
3.2段階認証(2FA)を使用する
2FAって一見、難しそうと思うかもしれませんがご安心ください。2FAを使用すると、アカウントにログインする前に、ログインしているのが本人であることを確認するためにもう1段階の確認が必要になります。もし、このプライバシー機能がある場合は、必ず設定するようにしましょう。一般的に2FAの手順は、スマートフォンのアプリで生成されるコードなので特に難しいものではありません。もし試したい場合は、GoogleやFacebookなどお気に入りのアプリの設定から2FAオプションを探して、設定をオンにしてみてください。
4.2段階認証(2FA)を使用する
ソフトウェアのアップデートは、強力なパスワードと並んで、個人情報の漏洩や詐欺に対する最も有効な防御策でしょう。ソフトウェアのアップデート(煩わしいポップアップ通知ではあるが、プライバシーを守るためには必要不可欠)を実行することは、IoTデバイス、PC、電話、そしてこれらに接続されているソーシャルメディア、銀行、ヘルスケアポータルの安全を確保するためには欠かせません。
5.VPN(仮想プライベートネットワーク)を利用する
シニア世代の方々が強力なプライバシー保護と心を平和に保つためにはVPNが必要です。VPNは、クレジットカードや個人情報を安全なネットワーク内に格納することで、犯罪者の目に留まらないように遠ざけることができるので、セキュリティ対策の中でも最も重要な要素を兼ね備えているといえるでしょう。
6.知識で対抗する
本文のリンクをクリックすると偽のウェブサイトに接続されるような詐欺メールは、一見、何の問題もない実在の会社からのメールと見間違えてしまうことがあります。安全なウェブサイトは、ブラウザ上部のアドレスバーのURLに「https」という文字が表示されます。この “s “は “secure “という意味で、もし、ウェブアドレスやURLがthhpのみの場合は安全なサイトではありません。
また、オンラインショッピングを使用する上で不安という方は購入する前にまず、そのサイトを使用した他のユーザーの口コミを読んでみましょう。そして、いかなるオンライン業者にも現金や預金手形、小切手を送ってはいけません。もし購入する場合はリスク回避のためにも、常にクレジットカードを使用することをおすすめします。そして、シニア世代を狙った詐欺事件を常に把握しておきましょう。最近、コロナウイルス感染症や出会い系アプリ、確定申告、雇用関連を中心にシニア世代を狙った様々な詐欺事件が起こっています。
7.楽しみながらスキルアップする
デジタルスキルを高めようとするとき、身近にある素晴らしい教育コンテンツがあることを忘れてはいけません。試しにYouTubeで検索してみると、セキュリティソフトのインストール、ルーターのパスワード変更、自宅のスマートデバイスの保護、あらゆるデバイスのプライバシー設定方法などをはじめとする様々な方法をわかりやすく解説した動画を見つけることができます。
新しいスキルを学んだり、構築することは必ずしも簡単なことではありませんが、シニア世代の方はこれまで生涯を通じて、若い人達よりもはるかに多くの経験をし、様々な知恵や能力を習得してきました。なので、テクノロジー技術を高めるということは、より快適な生活を送るためのただの1つの課題にすぎません。また、もし困ったことがあったら遠慮せずにまわりに助けを求めましょう。
※本記事はアスキーとマカフィーのコラボレーションサイト「せきゅラボ」への掲載用に過去のMcAfee Blogの人気エントリーなどを編集して紹介する記事です。
■関連サイト