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量子コンピューティングの元祖をうたうNECが目指す超伝導回路を用いた量子アニーリングマシンの開発

連載
大河原克行の「2020年代の次世代コンピューティング最前線」

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 NECは、1999年に、量子コンピュータの基礎である「個体素子量子ビット」を世界で初めて実証した企業である。これは量子コンピュータの実用性に道を開く画期的なものであり、同社では、この成果をもとに、「量子コンピューティングの元祖はNECである」と、自らを位置づける。

 2003年には、2ビット論理演算ゲートの動作に世界で初めて成功し、2007年にはビット間結合を制御可能な量子ビットの実証にも成功。量子アルゴリズムに従った量子演算を可能にした。

 さらに2014年には、超伝導パラメトロン回路を用いて、量子ビットの高精度、高速、非破壊な単一試行読み出しに成功し、世界で初めて、高感度読み出し可能なパラメトロンと量子ビットの融合を実現した。

 現在は、この超伝導パラメトロン素子による超伝導回路を用いた量子アニーリングマシンの開発に取り組んでおり、2023年までに実用化を目指している。超伝導パラメトロン素子を一定ルールで平面上に並べると、ノイズ耐性に優れ、多ビット化しても量子重ね合わせ時間がキープされやすいとされ、従来とは桁違いの量子状態時間を実現するポテンシャルを持つという。

 その一方、スーパーコンピュータを活用して、組み合わせ最適化問題を解くことができるシミュレーテッドアニーリングマシン(疑似量子アニーリング)も開発し、実課題への適用を進めているところだ。

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