ASCII Power Review 第180回
撮像素子もエンジンも操作性もAPS-C最高クラスだ
富士フイルム「X-H2S」実機レビュー = 最新フラッグシップ・ミラーレスカメラの実力とは!?
2022年07月12日 10時00分更新
富士フイルムから登場したAPS-Cミラーレス機のハイエンドモデルが「X-H2S」だ。製品名からして従来の「X-H1」の後継機だと思ったが、格段に進化したAFや高速連写はワンランク上の製品といえ、スペックは現行のAPS-Cミラーレス機のなかでも最上位だ(価格も含め……)。
今回は同時に発売された「XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR」も試用できた。35mm換算229-914mmと、使いこなすのが難しそうな超望遠ズームだが、この機会にチャレンジしてみた。
初の被写体検出機能、粘る力は十分だ
AFは流行の被写体検出機能を富士フイルムでは初めて搭載した。検出する被写体は6項目(動物・鳥・車・バイク&自転車・飛行機・電車)に細分化されている。今回は電車と飛行機、鳥で試した。
電車では運転席を検出するらしく、そのため真横からや運転席を極端にアップにすると検出はしなかった。
飛行機はコックピットに加えて、機体の形状も検出しているようで、遠距離や離陸後の後姿もしっかり認識してくれた。
鳥は離れているときは全体の形状を、アップにすると頭部や瞳まで検出してくれる。ただ逆光などで被写体が暗かったり、木の枝に止まっているなど複雑な画面では検出に迷うこともあった。
被写体検出はフォーカスエリア内の被写体を検出し追随する。AF-Sでは「ワイドエリア」に設定しておけば画面全体で検出してくれるが、AF-Cでは何故か「ワイドエリア」に設定することができないので、まずフォーカスエリアを任意の位置に決めて、被写体を検出したのち構図を決めるといった工夫が必要になる。このように少し操作にクセはあるが、一度食いついた後の粘りは十分満足できるので、コツさえつかめば上手く使いこなせるだろう。
積層型素子で速度も向上
ボディは大きめだがフィット感は高い
撮像素子には高速処理が可能な積層型を採用し、動体撮影でも像の歪みが少ない電子シャッターでAF/AE追従秒40コマの高速連写が可能だ。鳥など動きが速く不規則な被写体では連写途中でピントが怪しいこともあったが、被写体検出のおかげもあって高確率で合焦してくれた。
連続撮影枚数もUHS-1のSDカードで試したところ、秒40コマではJPEGで約200枚近く(ロスレス圧縮RAW+JPEGでは約150枚)、速度を秒30コマに下げると更に増えJPEGで1000枚超の連写ができた。このことからバッファメモリーを大量に搭載しているのがわかる。
さらにシャッターボタンを押す直前の1秒前から記録できる「プリ撮影」や、画像をクロップし1.25倍の望遠撮影ができる機能も搭載している。
電子シャッターでもシャッタースピード1/125秒、秒15コマ連写まではストロボが同調する。メカシャッターの同調速度は1/250秒になる。
画質面を見てみると、撮像素子は富士フイルムではおなじみの独自のカラーフィルター配列でローパスレスでもモアレや偽色が出にくい「X-Trans CMOS」を採用。画素数は2616万画素になる。実際に撮影した写真を見てみると、相変わらず細部が精細に再現され、画素数以上の解像力が感じられる。
高感度は常用ISO12800、拡張でISO51200。APS-C機のなかでは常用感度は控えめにだが、拡張感度のISO25600程度までは十分実用的なので、ライバル機と比べても遜色のない画質である。
今回AFや連写を試した撮影では、ほとんど「XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR」を使用した。サイズの割に軽く軽快に扱え、スムーズで素早く動作するAFや、拡大してもシャープ感のある描写、超望遠撮影をサポートする強力な手ブレ補正など鳥や飛行機などはもちろん、ネイチャーフォトにも活躍してくれそうだ。
ボディー周りを見ていくと、数値上では前モデルより微妙に小柄になっているが、それでもフルサイズ機並のサイズはある。そのかわり手にしたときに伝わる剛性や質感の良さはハイエンドモデルならではと思わせてくれる。グリップは深さがあり手に馴染む一般的な形状でホールド感も良好だ。
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