最近では何かと議論の俎上に載ることの多いアップルの“MRゴーグル”。この多機能なデバイスのコントロールにはどのような方式が使われるのだろうか?
最近アップルが取得した特許は興味深い回答となるかもしれない。US特許0220206630号「ULTRASONIC TOUCH SENSING PARASTIC WAVE REJECTION」だ。内容を簡単に説明すると、超音波センサーの精度を向上させる方法であり、モバイルデバイスのタッチセンサーに使うことを前提としている。
現在は静電容量方式のタッチセンサーがよく使われているが、超音波センサーはこれとは異なる方式だ。タッチ部分のベゼル(長辺と短辺)に超音波を発信する振動装置が組み込まれ、この振動がタッチ画面の表面を伝わることでセンシングするデバイスだ。タッチ画面に汚れがあっても悪影響がないし、手袋をしていても反応するというメリットがある。
しかしながら超音波センサーは、「Parastic Wave(寄生波)」と呼ばれる副次的な超音波が悪影響を及ばすことがある。本特許はその影響を除去する方法だ。つまり、超音波センサーの精度を上げられるのである。
内容は難しいので特許そのものには深く触れないが、注目したいのはそれがどんなアップル製デバイスに採用される可能性があるかだ。文中では実施例のウェアラブルデバイスとしてAirPodsの図が描かれている(fig5)。しかし、超音波センサーの利点のひとつが手袋をしたままでも反応することなので、現状でも感圧センサーを採用しているAirPodsではあまりメリットがないかもしれない。またAirPodsにそこまで高い精度のセンサーが必要とも思えない。
では、精度を上げ、マルチタッチも必要とするようなデバイスで、手袋を装着した状態の使用も考慮したい製品と言えばなんだろうか? 考えられるのはやはり根強い噂のあるMRゴーグルではないだろうか。もちろんこれは筆者の妄想なので、真偽のほどは分らない。そもそもアップルがMRゴーグルを開発していると認めたわけでもない。ただ、筆者としてはこの推測は低くない可能性を持つものと考えている。
この連載の記事
-
第300回
AV
インド発の密閉型/静電式ヘッドホン? オーディオ勢力図の変化を感じた「INOX」 -
第299回
AV
夏のヘッドフォン祭 mini 2024レポート、突然のfinal新ヘッドホンに会場がわく! -
第298回
AV
ポタフェス2024冬の注目製品をチェック、佐々木喜洋 -
第297回
AV
なんか懐かしい気分、あなたのApple WatchをiPodにする「tinyPod」が登場 -
第296回
AV
逆相の音波で音漏れを防げる? 耳を塞がないヘッドホン「nwm ONE」──NTTソノリティ -
第295回
AV
NUARLのMEMS搭載完全ワイヤレス「Inovatör」(旧X878)の秘密とは? -
第294回
AV
AirPodsで使用者の動きからBPMを認識、それを何かに応用できる特許 -
第293回
AV
次世代AirPodsにはカメラが付くらしい、じゃあ何に使う?(ヒント:Vision Pro) -
第292回
AV
OTOTEN発、LinkPlayの多機能ネット再生機「WiiM」とSHANLINGの「EC Smart」を聴く -
第291回
AV
ビクターの新機軸、シルク配合振動板の魅力とは? HA-FX550Tを聴く -
第290回
AV
HDTracksがMQA技術を使ったストリーミング配信開始へ - この連載の一覧へ