海外でのスマートフォン市場が相変わらず不安定だ。好調に終わった年末商戦の流れもあり、年初にプラス成長が予測されていた2022年だが、6月に入り下方修正。IDCはマイナス3.5%と予想している。最新動向をまとめていこう。
成長国はインフレによる価格上昇で
スマホ買い替えの見送りが進行
7月1日、アップルは日本でiPhoneやiPadの価格を改定した。円安が進んでいることもあり、昨秋の時点では1ドル=約110円だった為替相場は現在は130円台前半を推移している。日本でのiPhoneの割安感は以前から指摘があり、為替相場に合わせて価格を変更したのだろう。今回の価格変更に対し、日本の消費者がどのように反応するのかが気になるところだ。
世界のスマートフォン市場もさまざまな影響を受けている。インフレが進む米国では物価上昇率が7%とも8%とも言われる。5月以降、何度か米国出張に行ったのだが、燃料価格の上昇もあって航空券が値上がり、パイロット不足がこれに輪をかけていると聞いた。期間中に使用したUberの領収書には、「一時的な燃料サーチャージ」という名目が加わっていた。コロナ禍で主要産業の観光が打撃を受けたネバダ州では、「復興サーチャージ」のようなものまで徴収されていた。
欧州でも、ウクライナ・ロシア情勢の影響でエネルギーコストが大きく跳ね上がっている。
すでに大半の人がスマートフォンを手にしている欧米の先進国において、スマートフォン市場は買い替え需要に頼るしかない。最新モデルのスマホよりも重要なものがあるのなら、買い替えは見送られるだろう。
世界のスマートフォン市場の最大の中国の情勢が
大きな影を落とす
IDCは6月1日、1.6%増という2022年のスマートフォン市場の予測を下方修正することを発表した(https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prUS49226922)。最新の数字では、2021年からマイナス3.5%、出荷台数は約13億台という予想だ。
要因としては、上記のインフレ、地政学情勢に加え、サプライチェーンと需要の弱さも挙げている。IDCのアナリスト、Nabila Popal氏がそれらをはるかに上回る要因として挙げるのが「中国のロックダウン」だ。中国は世界最大のスマホ市場であると同時にサプライチェーンでも重要な地域であり、Popal氏は、「中国のロックダウンはこの地域での需要の減少を招いており、世界の需要と供給に同時に深刻な影響を与えている」としている。
IDCが出している地域別の出荷台数の傾向は、ウクライナ・ロシア情勢の影響を受ける中央・東欧州は22%減少、中国は11.5%減少、西欧は1%減少などとしている。中国は台数にして3800万台のマイナスとなり、これが世界のスマホ市場の減少の8割を占めているという。
中国ではECサイトが一斉にセールを行う「618」(5月31日~6月18日)があったが、この期間のスマートフォンの販売台数は前年比10%減少とのこと(Counterpoint Research調べ)。
ちなみに、618セール期間のベンダー別の販売台数では、Honorが19.1%と前年の7%から大きく増やしてトップに。前回首位のVivo、2位のOppo、3位のシャオミ、4位のアップルを軽々と超えた。618期間中に最新の「Honor 70」をローンチしたことが大きな成果を結んだようだ。
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