ICTを活用した歩行者移動支援サービスの普及を促進
国交省のバリアフリー・ナビプロジェクト アンバサダーにパラアスリートの網本麻里選手と瀬立モニカ選手が就任
バリアフリー・ナビプロジェクトとは、国土交通省が進める、ICTを活用した歩行者移動支援サービスの普及に向けた取り組みのこと。歩行空間のバリアフリー情報等を収集、オープンデータ化の仕様やガイドラインを整備し、車いす利用者向けナビゲーションなど、さまざまなICTを活用した歩行者移動支援サービスが提供される環境作りを進めている。
国土交通省 吉岡幹夫技監のあいさつでは、「このプロジェクトは東洋大学情報連携学部(INIAD)学部長の坂村健教授が中心となり、10年前からスタートしました。車いすやベビーカーの利用者が歩道を歩く際の段差や傾斜などを簡単に入手できるように、デジタル技術を活用するさまざまなサービスを検討してきました。具体的には、段差や傾斜情報をオープンデータ化し、バリアフリー情報を誰もが自由に利用できる取り組みを進めています。
東京2020オリンピック・パラリンピックでは競技場周辺のバリアフリー情報を整備し、選手を始め、大会関係者など多くの方にご利用いただいた。今後より多くの人に取り組みを広く知ってもらい、データ整備に参画してもらえるように、アンバサダーのお2人にはさまざまな場面で積極的に発信してもらい、私たちと一緒にユニバーサル社会に向けた取り組みを支援していただけることを期待しています」と述べた。
任命状とたすきの授与式のあと、網本選手と瀬立選手がアンバサダー就任の意気込みを語った。
綱本選手は、「私は右足首に障害がありつつも、普段は歩いて生活しているので、こうしたサービスを知ることができたのはうれしく思っています。サービスを使うことで障害の有無にかかわらず、誰もが不自由のない日常生活を送れるように、街中を好きなように歩けるように、たくさんの方に知っていただきたいです」とコメント。
瀬立選手は、「アンバサダーの就任をうれしく思っています。私は高校生から車いすになったので、電車通学に苦労しました。当時は自分で何回か練習をして、どの道を通るのが楽なのかを開拓していきましたが、こうしたサービスの導入によって、より高校に通いやすくなったり、外に出るハードルが下がる社会になってほしいと思います。スポーツの練習場所へ行くにも電車を使ったりするので、外に出るハードルが下がることはパラスポーツの普及にもつながっていくと思います。サービスの普及でいいサイクルが回り、競技人口がどんどん増えるように発信をがんばっていきたいです」と語った。
質疑応答では、「どのような道が歩きづらいか。歩きやすい理想の道とは?」と質問にたいして、網本選手は「車いすを使わないときは長距離を歩きにくいので、最短のルートがあると助かります。車いすを使っているときは、車道と歩道の少しの段差でもつまずいて転ぶことがあるので、少しでも軽減されるとうれしいです」とコメント。
瀬立選手は「道路は水はけをよくするために傾斜しているので、右腕がすごく疲れます。今はカヌーで鍛えて筋力がついたので簡単になってきたのですが(笑)、一般の人は難しいと思うので、水はけの方法に何か新しいアイデアがあるといいと思います。例えば、視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)も車いすユーザーにとっては障害となるので、凸凹ではなく音や振動で位置を伝える新しい点字ブロックになったらいいと考えています」と答えた。
今後、両選手はアンバサダーの活動として、TwitterやInstagramなどのSNSを通じて、バリアフリーアプリなどのサービス情報を発信していく予定だ。
また同日より国土交通省では、バリアフリー・ナビプロジェクトの一環として、車いすやベビーカーでも自由に街を歩ける10年後の歩行空間に関するアイデア・ネーミング・ビジュアルを募集するコンテスト『10年後の歩行って?』を開催。募集期間は、2021年12月21日~2022年7月31日(日)。詳しくは公式サイトへ(https://www.mlit.go.jp/hokoucontest2021/)。
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