「Twitter」「Facebook」「Instagram」「LINE」「YouTube」のようなソーシャルメディアやコミュニケーションツール、動画共有サービスの延長線上に「ライブ配信」機能が付加されたことをきっかけに、ライブ配信という言葉そのものや仕組みが一般の人にも広く認知されたと感じます。でも、それが本格的に始まったのは2016年からで、まだ二年しか過ぎていません。
この2016年以降を「ライブ配信メディア全盛期」と、この連載では定義をしているのですが、全盛期に入り、本当に様々なライブ配信のプラットフォームが生まれています。それは2017年も例外ではなく、今年もライブ配信単体の新しいプラットフォームが生まれ続け、さらにはサービスの賑わいをつくるためにこれまで活躍してきた配信者(やコンテンツ)を奪い合うシーンも見られます。
黎明期(2016年より前)はどちらかというと、企業が商品やサービスをプロモーションすることを目的とした「情報を多くの人に伝えるために不特定多数に向けて」ライブ配信を活用することが主流でした。全盛期に入り、これに加えて、個人が手軽にスマートフォン一台でライブ配信して、コミュニケーション(もしくはブランディング)の手段のひとつとして活用することが当たり前になりつつあります。
そういった意味では、「ライブ配信」といっても「企業のライブ配信」と「個人のライブ配信」という大きな括りだけでなく、個人のライブ配信のみを着目しても、その目的によって使われ方も様々。「ライブ配信」を単純に一括りでは言い表せない多様性が存在するようになりました。
それは「ゲーム実況」や「雑談」といった単なるジャンルでなく、「個 対 多」(個人が不特定多数に見てほしいことを目的とする)のか「個 対 個」(個人が友だちのような特定少数に見てもらうことを目的とするのか)といった視聴してほしいターゲットニーズも多様化しました。
そして、YouTuber(YouTubeクリエイター)と同じように、ライブ配信の配信者(クリエイター)も配信によってマネタイズができる仕組みを求められるようにもなりました。
「個人のライブ配信」という言葉さえも、コミュニケーション(やブランディング)のためにライブ配信を使う個人で配信者のことを単純に「個人の配信者たち」として一括りすることも難しくなりました。
ただ、どの「個人の配信者たち」も、ライブ配信メディアのプラットフォームに求めることであったり、個人の配信者たちが多く集まり賑わいを作りだすためにプラットフォームがやらなければいけない必要なことは、ジャンルやターゲットニーズが異なったとしても同じ、であるように感じます。
その、個人のライブ配信者が求める「ライブ配信メディアのプラットフォームに求めるモノ・必要なコト」は、
(1)快適に利用(視聴および配信)できるプラットフォーム
(2)配信者誰もができる・わかりやすいマネタイズの仕組み
(3)配信者を育成する仕組み
(4)運営によって配信者が褒められる仕組み
(5)配信者が公の場で広く活躍できる(目標となる)場所があること
の5つだと思うのです。
「快適に利用(視聴および配信)できる」から「マネタイズ」へ
2016年よりも前の黎明期では主に「(1)快適に利用(視聴および配信)できるプラットフォーム」が求められてきました。
先日あったドワンゴのniconico(く)の発表会において、「新しい機能よりも現在の課題となっている画質重さの完全解決を」というユーザーの声が大きく広がったことからもわかるように、快適に視聴や配信ができるプラットフォームであることは、プラットフォームがサービスを展開する上でのなによりの最優先課題であり、ユーザーがプラットフォームへ求める最も高いニーズでもあると思うのです。
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