やはり街で猫に出会いたいと思ったら古い街並が残ってる、昔からの住宅街だよな、と思うのである。
今、猫を飼うといったら室内飼いが常識。家の外に自由に出られるような飼い方をすると、病気になりやすいとか事故に遭うとかいじめられるとか近所の迷惑になるとか(庭を勝手にトイレにしたり)、いろいろとデメリットが多い。
ついでに、外との出入りを自由にするとノミを拾ってきてちょいと厄介なことになったりもする。ええ、厄介でしたよ、ノミ取りは。
猫をアパートの一室に閉じこめたらかわいそう、という人も昔はいたが、人間基準で猫の幸不幸を判断しちゃいけないわけで、猫的にはそれなりに動き回れるスペースがあれば特に問題ないらしい。
猫を室内で飼うのが常識となったのは結構最近のことで、少なくとも昭和が終わるまでは(もう30年近く前だが)、庶民の飼い猫も自由に外を歩き回っているのが当たり前だったし、野良猫も当たり前のようにいた。首輪をつけてない飼い猫もけっこういて、両者の境界もアバウトだった。
その頃、猫は他人の家の迷惑になってなかったかというとそんなことはなくて、よその家に上がり込んだりよその庭をトイレにしたり、時には魚をくわえたどら猫をサザエさんが裸足で追っかけたりしてたわけだが、町の人は猫なんてそんなもんだと思って許容してたのである、たぶん。
人の意識って一朝一夕には変わらないわけで、古い住宅地や路地で猫をよく見かけるのは、昔の感覚で猫を飼ったり世話してる家がまだあり、猫が屋外をうろうろするのは当たり前感覚が残っているのだろう。
東京でも表通りの喧噪を避けて古い路地に入るといきなり道の真ん中に猫がいたりするから面白い(冒頭写真)。
そういう古い路地は猫も結構人なつこくて、あ、猫がいる、と思ってカメラを取りだしてしゃがむと、いきなりこっちへやってきたりするのである。
あ、ちょっとまて、写真撮ってからにしてくれと思う間もなく、こんなことになるから面白い。
首輪をしてるので飼い猫なのかと思いきや、耳に切り欠きがあるので去勢された地域猫のようでもある。
突然こんな話からはいったのは、数年前から「東京古道散歩」などの街歩きのガイドをしており、下見と称して歩きまわるおかげで街の猫とちょくちょく出会うのである。
猫を探して歩いてるわけじゃなくて、何か面白い歴史の名残でもないかとキョロキョロ歩いてるのだが、やはり古い街の方が猫をよく見かけるなあと思うのだ。
たとえば地形チェックのつもりで横の路地に目をやると、もこもこしたふわっとした物体がにゅるっと出てきたりするのである。
その場でさっとしゃがんで望遠にして撮ったのがこちら。
猫と路地と地形。こういうカップリングは楽しい。
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