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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第436回

業界に痕跡を残して消えたメーカー Appleに不満を抱くメンバーが立ち上げたNeXT Computer

2017年12月04日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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 一週空いたが、業界に痕跡を残して消えたメーカーをお届けしよう。今回は多くの方がご存知であろう、NeXT(NeXT Computer、NeXT Software)である。「知ってる」という方も多いとは思うが、改めて紹介したい。

Steve Jobs氏らAppleの主要メンバーが
会社を辞め、立ち上げたNext Inc.

 話は1985年に遡る。当時Apple Computerの創業者にして会長だったSteve Jobs氏は、自身が招きいれたCEOのJohn Sculley氏との激しい社内抗争の末、1985年9月13日にApple Computerを退職する。このあたりの話は連載423回でも書いた。

 Jobs氏は退職にあたり、Bud Tribble氏(VP, Software Technology)、George Crow氏(Engineering manage)、Rich Page氏(Apple Fellow)、Susan Barnes氏(Senia controller for U.S.Sales&Marketing)、Susan Kare氏とDan'l Lewin氏(Director, Education Sales&Marketing)の5人も引き連れ、全員で新しい会社であるNext Inc.を立ち上げる。

Next Inc.を立ち上げた最初の6人。後列左からRich Page氏、Steve Jobs氏、George Crow氏。前列左からDan'l Lewin氏、Bud Tribble氏、Susan Barnes氏

 この5人はいずれもAppleに不満を抱いており、かつJobs氏と一緒にLisaやMacintoshを立ち上げたチームということで、意気投合するまでの時間は短かったようだ。とはいえ、いずれもかなりの要職にあった人物だけに、これはかなり揉めることになった。

 事前にJobs氏から「新会社を立ち上げるにあたって何人かAppleから連れていく」と聞かされていたSculley氏は、当初こそ「条件が合えば出資しても良い」と鷹揚に構えていたが、離脱するメンバーを見て慌てることになる。

 結局この辞任のやや後、AppleはNeXTが同社のインサイダー情報を利用していると訴えを起こすことになり、これに対してJobsが語った“It is hard to think that a $2 billion company with 4,300-plus people couldn't compete with six people in blue jeans.”「4300人の従業員と20億ドルの売上の会社が、ジーンズ履いた6人しかいない会社と競合するってアホか)」意訳)というメッセージはあまりに有名である。

 幸いにAppleはこの頃業績も良く、ここであまりNeXT(というかJobs氏)と揉め事を起こしてニュースになるのは好ましくないと判断したのだろう。いくつかの条件(NeXTは今後6ヵ月間はAppleの従業員を引き抜いたりしない)をJobs氏がのんだことを受け、1986年1月に告訴を取り下げる。

高等教育機関やビジネス向けの
ワークステーションを開発

 さて、そうして無事に船出をしたNeXT Inc.であるが、同社は高等教育機関向けの製品をターゲットにしていた。Appleを退職する前、Jobs氏は会長としてMacintoshを特に高等教育機関に売り込むべく、大学を初めとするさまざまなところをまわっていた。

 この経験から、当初同社はこうした高等教育機関向けにターゲットを定め、ここに向けたシステムの開発を始めることになった。当初の想定価格は1万ドル以上とされ、ところがデスクサイドに設置できるコンパクトで、かつパワフルなマシンを狙っていた。

 もっともこの方針はこの後だんだんと変ってくる。少し後になるが、1991年頃にJobs氏が社内向けにマーケティング戦略を語るビデオをみると、基本的にはSunを強力な競合(Jobs氏の言葉を借りれば市場の8割を抑えている)と認識した上で、差別化のために使いやすいGUIや容易な開発環境、そして使いやすいネットワークを提供することで、PCやMacintoshを使っていたユーザーがワークステーションに移ってくる時に彼らを取り込むことができる、としている。

 いかに高等教育機関といってもそうそう高価なマシンを買える物ではないという話もさることながら、こうした市場だけでは十分な売上は見込めないという見通しも立ったのだろう。先の「使いやすい」マシンを構築し、販売することをターゲットとする。

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