ベリタステクノロジーズは11月30日、同社SDS(Software-Defined Storage)ポートフォリオの新製品として、大量の非構造データ保存に適したオブジェクトストレージ「Veritas Cloud Storage」を発表した。ペタバイト/数十億ファイル規模の拡張性を備えるだけでなく、独自の分類エンジンによってデータの種類や活用度、リスク度などを自動分析することで、データの活用促進や保存コストの最適化、コンプライアンスリスク低減などにつながるインサイトが得られるのが特徴。12月4日より提供開始。
Veritas Cloud Storageは、ペタバイト/数十億ファイル規模まで拡張が可能なオブジェクトストレージだ。汎用x86サーバーで稼働するオンプレミス向けのソフトウェアや物理アプライアンス、さらにパブリッククラウド向けソフトウェアで提供され、プラットフォームに依存しないSDSを提供する(発売当初はまず、オンプレミス向けソフトウェアのみ提供)。
他社競合製品との大きな差別化ポイントは、ベリタス独自の分類エンジン「Integrated Classification Engine」の搭載にある。これは、Veritas Cloud Storageに書き込まれたデータ(オブジェクト)について、一般的なメタデータ(所有者や最終更新時間、ファイル拡張子、サイズなど)だけでなく、一定のルールに基づいてデータの内容を分析/分類し、追加メタデータも自動的に付与するエンジンだ。
これにより、たとえば「利用頻度が低く、個人情報が含まれるデータ」であれば管理者に破棄を提案したり、逆に「利用頻度が高く、機密リスクもないデータ」であれば積極的な活用を提案したりすることができる。GDPR(欧州一般データ保護規則)などのコンプライアンス要件に抵触する情報を含むデータについても、アクセスやデータ移動を自動的に制限することで、安全なデータ保存と活用を可能にする。
Integrated Classification Engineでは、約60種類の定型ポリシーと約100種類の検出パターンに基づいてデータの分類を行う。具体的には、一般的な個人情報(銀行口座、クレジットカード番号など含む)や企業の機密情報のほか、金融や医療、各国の規制に基づく検出パターンが定義されている。また、正規表現や近似検索、キーワード、機密情報でよく用いられる用語辞書などに基づいて、顧客が独自の検出パターンを設定することもできる。
この分類エンジンはすでに「Enterprise Vault」や「Data Insight」で採用されているものだが、今回のVeritas Cloud Storageへの統合にあわせて、上述の検出パターンカスタマイズ機能が追加されている。ベリタスでは今後、このエンジンを他の製品にも実装していく方針で、これによりストレージやデータ管理の“スマート化”を推進する。
発表会に出席した米Veritas Technologies プロダクトマーケティング担当VPのデビッド・ノイ氏は、今回のVeritas Cloud Storageは、単にパフォーマンスとスケーラビリティに優れたオブジェクトストレージ製品というだけでなく、ペタバイト規模になっても上述した分類エンジンによるデータインサイトと、それに基づくデータ管理の自動化/省力化を実現するものだと説明した。
なおノイ氏によると、将来的にはAWS、マイクロソフト、グーグルなどとのパートナーシップに基づき、データ分類エンジンをクラウド上にも展開していく。これにより、データ(オブジェクト)が顧客企業のオンプレミス環境だけでなく、マルチクラウド/マルチサイト(グローバルな分散データセンター)のどこにあっても一貫して適用できる「単一のオブジェクトカタログ」を構築していく方針だという。また、オブジェクトのメタデータに基づく検索機能も将来的に追加していく計画。
またベリタス日本法人 常務執行役員の高井隆太氏は、「ベリタスでは(SDSなどの)テクノロジーによる区分ではなく、データ管理(要件)の特性に応じてストレージを最適化する」アプローチを取っていることを説明。すでに提供している3種類のSDS製品(InfoScale Enterprise、Access、HyperScale for OpenStack/Containers)と異なり、今回のVeritas Cloud Storageは大量の非構造化データの保存に最適化したSDSであると述べた。