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ビッグデータとAIで一歩先を行くブッキング・ドットコムのIT戦略

2017年12月04日 12時00分更新

文● ドリル北村/ASCII編集部

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 宿泊予約サイト「ブッキング・ドットコム」の招待で、オランダにある本社を取材する機会に恵まれた。従業員に働きやすい環境を提供するブッキング・ドットコム本社を視察した後、CEOやディレクターに話を聞くことができた。いち早くビッグデータとAIを導入する同社の企業戦略について、質問をぶつけてみた。

“なにをしても顧客を中心に置く”がブッキング・ドットコムのポリシー

 ちなみにマイクロソフト日本法人の社長兼CEOを務めたDarren R. Huston氏が、2011年にブッキング・ドットコムのCEOとなり、2014~2016年には親会社であるPricelineのCEOに就任していた。アスキーおよびその読者にとってもなじみの深い同氏が関わった企業としても興味深い部分がある。

CEOインタビュー
失敗は早道

 まずは、組織内のすべてのビジネスユニットの管理を含むブッキング・ドットコムのグローバル戦略と運営を担当しているCEOのGillian Tans (ギリアン・ダンズ) さんに話を聞いた。

ブッキング・ドットコム CEOのGillian Tans (ギリアン・ダンズ) さん。彼女のリーダーシップの下で、ブッキング・ドットコムは220以上の国と地域で営業を進めてきた

―――なぜ本社がオランダにあるのでしょうか?

【ダンズ】 ブッキング・ドットコムは1996年にオランダで創業しました。オランダ人にサービスを提供して事業を拡大していったので、オランダに本社があります。オランダ人は旅行が大好きです。ただオランダは国土が狭いため、旅行というと海外に行く傾向にあります。そのオランダ人に旅を楽しんでもらおうと考え誕生したのがブッキング・ドットコムです。グローバルなスケールで事業を展開しつつ、地元オランダに根付いた企業を目指しています。

ブッキング・ドットコム入社前は、ホテル業界で働いていたというダンズ氏。インターネットを活用したホテルビジネスに興味を持つようになり、2002年にブッキング・ドットコムに入社したという。英語、オランダ語、ドイツ語とフランス語を話せるマルチリンガルでもある

―――ブッキング・ドットコムが目指す“旅”とはどのようなものでしょう?

【ダンズ】 ブッキング・ドットコムは旅行と体験を扱っています。旅行先での移動の拠点となるホテルを確保するのは、誰もが真っ先にすることです。まずはそのお手伝いをします。

 そして、“旅”は目的地に行くだけでなく、そこでなにを体験したかが非常に重要になります。そのために、観光地のチケットを手配したり、旅行ガイドを提供したり、ホテルの予約以外の面でも利用者をサポートするようにしています。

ブッキング・ドットコムのミッションは、人々が世界を自由に体験できるようにすること

―――ビッグデータとAIを導入している会社として、日本の企業からも注目を集めています。これらには設備投資が必要なうえ成功事例もありません。資金繰りや承認には非常に苦労したはずですが、どのように投資家や会社を説得したのでしょうか?

【ダンズ】 インターネットを駆使したスタートアップ企業のブッキング・ドットコムがここまで大きくなれたのは、テクノロジーのおかげです。そのため、会社もテクノロジーの導入には理解があります。

 テクノロジーの導入は不可欠です。これにより、カスタムメイドの旅を提供できるからです。そのためのテクノロジーはなるべく早い段階で導入するようにしています。

 プロダクトを作る上では失敗しないことが重要ですが、そのためにはなるべく早く失敗し、その失敗から多くを学ぶ必要があります。誰よりも先に経験を積みテクノロジーを使いこなすことが、市場のシェア拡大につながると考えています。ビッグデータとAIもそうです。データを活用してイノベーションに利用しています。

より充実した旅を送るためには、“旅”の不便を取り除かなければならない。そのための創造とテストを繰り返している

―――次の戦略として、なにか注目しているITテクノロジーはありますか?

【ダンズ】 VR(バーチャルリアリティー)がそのひとつに挙げられます。VRヘッドマウントディスプレーで映像を見ることで、旅行先に行かなくても旅をした体験ができるというのは、新たなサービスとしての可能性を感じます。

 新しいテクノロジーは、実験して学んでいくことが大事です。やはりここでも「失敗は早道」という企業理念が活かされています。あらゆる最新テクノロジーをテストし、良いものを取り入れることでサービスの向上につなげています。

利用者のニーズに合わせて常にサービスの革新が求められている。革新にはテクノロジー導入が必要不可欠だという

―――ありがとうございました。

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