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6%から10%へ、実用化の目安15%まであと一歩

理研、塗布型太陽電池で効率10%を達成

2015年05月27日 19時25分更新

文● 行正和義/ASCII.jp

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PNTz4Tを発電層として用いた有機薄膜太陽電池素子の模式図

 国立研究開発法人 理化学研究所(理研)は5月26日、塗布プロセスで製造できる有機薄膜太陽電池にて変換効率10%を達成したと発表した。

 有機薄膜太陽電池は塗布プロセスで製造できるため、シリコン半導体と比べて圧倒的な低価格化、平面でない素材にも適用可能、大面積化などさまざまな利点があるが、太陽光からの変換効率に関してはシリコン太陽電池に比べて低く効率アップの研究が進められている。

 理研や北陸先端科学技術大学院大学、高輝度光科学研究センター、科学技術振興機構などからなる研究チームは、結晶性の高い半導体ポリマーを発電層に用いるなどして従来6%前後であった光-電流変換効率を10%に向上させた。

PNTz4Tを発電層として用いた素子の電流・電圧特性

 有機薄膜太陽電池に用いる半導体ポリマーはシリコンなどの半導体に比べてホール(電子のない部分)移動度が低く、電極にホールが到達する前に電子が入ってしまうのが難点だが、移動度が高い半導体ポリマー「PNTz4T」を用いるともに厚みを倍増させている。また、素子の分子構造を高輝度光科学研究センターの大型放射光施設「Spring-8」で調べ、半導体ポリマー分子の向きが重要であることが分かったという。

 シリコン半導体太陽電池では変換効率20%クラスのものが普及しているが、変換効率15%が普及の目安とされている。共同研究チームでは、新たに発見された知見を元に改良を加えて15%効率を目指すという。

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