フェイスブック×広告主×アプリ開発者×ユーザーは、利益を共有できるか!?
14億4000万人を抱えるフェイスブックが描くビジネスエコシステム
2015年05月27日 09時15分更新
フェイスブック プラットフォーム 商品開発責任者のデボラ・リウ氏が来日し、5月25日に記者向けの説明会を実施した。
リウ氏はeBay、PayPalを経て、現在はFacebookのゲーム、決済システム、モバイルアプリ広告、オーディエンスネットワーク、コマースに関する全プロダクトの開発やエンジニアリングを統括するプラットフォーム部を率いている。また広告主や開発者、フェイスブック社内用アプリの為に、世界45種の通貨に対応した80通りの支払い方法にそくしたグローバル決済システムの管理も担当している。3月に開催されたフェイスブックの開発者向けカンファレンス「F8」に登壇済みのため、記憶にある読者も多いだろう。
フェイスブック×広告主×アプリ開発者×ユーザーは
Win-winになりうるのか!?
F8でフェイスブックは、開発者によるモバイルアプリの作成、利用促進、収益化を支援する25以上の製品とツールを発表した。全世界におけるFacebookの月間アクティブユーザーは14億4000万人、Facebookグループは7億人、WhatsAppは8億人、Messengerが6億人、Instagramが3億人とユーザー数の多さとともに、「Facebookはすべてのモバイルプラットフォームをクロスデバイスで実現している」ことをリウ氏は強調した。
つまりFacebookのツールや製品を利用することで、iOSやAndroid、モバイル端末やパソコンの垣根を超えたエンドユーザーへのアプローチが容易に叶うということだ。現在、Facebookに関わる開発者数は数十万規模、70%はアメリカ以外を拠点にしており、Facebookデベロッパーツールを利用して3000万以上のアプリが作られ、30億超えたアプリのインストールをサポートし、500億以上のコンテンツがアプリを通して友だちと共有されているという。そして過去数年間にデベロッパーに支払われた額は80億ドル(9857億円)を超えた。
F8で発表されたMessenger プラットフォームを利用することでアプリ開発者は、Messengerと連携可能なアプリを簡単に作成できる。月間アクティブユーザーは6億を超えるMessengerのユーザーは、Messenger プラットフォームを利用して作られたアプリを通じて、音声クリップやステッカーを送りあったりMessengerから離脱することなく持っていないアプリを発見することができるという。
Businesses on Messengerは、企業(フェイスブックにとっての広告主)とユーザーのコミュニケーションや双方向のやり取りを円滑にするツールだ。eコマース現場では、注文の確認や配送状況、関連情報をメッセージとして受け取るだけではなく、注文変更や返品といった行動をMessenger上でとることが可能だ。購入に関連した一連のやり取りを、企業とユーザー間で単一スレッドで続けることができるという。
並行してFacebook Analytics for Appsを利用すると、ユーザーの動向を解析し対応することで、エンゲージメントが高まり収益化が図れる。
アプリ開発者や広告主は、利用者数を武器にしたフェイスブックのサービスを利用することのメリットは大きいと考えられるが、かたやビックデータの一部となり得るユーザーのメリット、デメリットはどうだろうか? もちろん、企業やアプリ、コンテンツとストレスの少ない方法で繋がり利用できるメリットは魅力的だ。
Facebookでは、個々のユーザー情報に企業はアクセスできず、ユーザー自身にプライバシーについて確認するツールや必要ない広告を非表示できるようなツールを提供している。さらに「ユーザーからは自身に関連性が高い広告を見たい」という希望もあるとしている。
フェイスブックと広告主、アプリ開発者の収益化におけるエコシステムにユーザーが取り込まれたと感じるか、4者が一体となってメリットを共有できる道筋と考えるかなどそれぞれの立場における違いもあるが、Facebookの月間アクティブユーザー14億4000万人とは中国の人口を超える数である。それだけの数を動かすフェイスブックの戦略、次世代に向けた取り組みには注目せざる負えないだろう。