国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)は5月21日、東北大と共同でエタノール燃料から効率よく電力を取り出すことができる新触媒を開発したと発表した。
サトウキビやトウモロコシの発酵で生産できるバイオマス燃料であるエタノール燃料(アルコール)は、化石燃料代替の次世代エネルギー資源としての利用が期待されている。現在、石油系燃料と同様にディーゼルなど内燃機関の燃料に用いられているが、燃料電池(ポリマー電解質膜燃料電池:PEMFC)による 電力化もさまざまな研究が進められている。しかし、燃料電池にエタノールを用いた場合、エタノールが持つ炭素-炭素結合を効率よく切断できず、化学エネルギーを効果的に取り出すことができかなった。
研究グループでは、タンタルとプラチナを組み合わせた新触媒「PaTa3ナノ粒子」を開発。この触媒を用いると常温・常圧の水中において炭素-炭素結合を効率よく切断することを確認した。また同時に、炭素-炭素結合を切断した結果発生する一酸化炭素を二酸化炭素まで参加できることが分かった。
NIMSでは、従来の触媒に比べて効率が高く有害排気も生じない新触媒を用いることでエタノール燃料電池の電流密度は10倍以上にも向上、有害排気の発生なくエタノール燃料からエネルギーを取り出すことができるため、バイオマス燃料技術とともに再生可能エネルギーのブレイクスルーとなると期待している。