Windows 8.1の後継となる次期OS「Windows 10」の販売開始が2015年夏に決まり、すでにプレビュー版も公開されている。Windows 10は数々の新機能が盛り込まれるが(関連記事)、そのなかでも個人的に注目したいのが、デフォルトでハイレゾ音源の再生をサポートすること。
具体的に言えば、Windows 10では、Windows Media PlayerでFLACファイルの再生が可能になり、WAV、FLAC形式の96kHz/24bit、192kHz/24bitなどのハイレゾ音源の再生もできるようになった。
Windows 8.1まででは、Windows Media PlayerはFLACファイルやハイレゾ音源の再生がサポートされておらず、「Foobar2000」などのような対応した再生ソフトを新規に導入する必要があった。設定なども含めると、誰でもすぐにできるほど簡単とは言い難いため、Windows 10でより手軽にハイレゾ音源の再生ができるようになるのはありがたい。
今年の秋以降には、Windows10搭載モデルも登場することになるが、その時にはよりハイレゾ音源の再生が身近なものになるだろう。
本特集では、そんなWindows 10のプレビューリリース版で、ハイレゾオーディオのあれこれを試していく……のだが、第1回目の今回は、そもそもハイレゾ音源って何? という方のために、基本的な解説を行なっていく。
すでに、ハイレゾ音源とか、FLACとか、「Foobar2000」といった専門用語が出てきているが、そんな言葉を聞いたことがないという人も大丈夫。基本的な知識を一通り解説しよう。
そもそもハイレゾ音源ってどういうもの?
ハイレゾとは、Hi-Resolution(ハイレゾリューション=高解像度)を意味するもので、ハイレゾ音源とはCDの44.1kHz/16bitよりも情報量の多い音源を指す。
JEITA(電子情報技術産業協会)の規定では、CDフォーマットで規定されている44.1kHz/16bit、またはDAT/DVDなどのフォーマットで使用されている48kHz/16bitを超えるものとされている。一般的には96kHz/24bitや192kHz/24bitがハイレゾ音源の主流だが、44.1kHz/20bitとか、48kHz/24bitというような音源ファイルもある。
この44.1kHzとか96kHzというのはサンプリング周波数(1秒間に何回のサンプリングを行なうか)を示すもので、この数値によって再生可能な周波数帯域が規定される。16bitとか24bitというのは量子化ビット数。音量の大小を規定するものだ。JEITAでは、このどちらかがCD音質を超えるものについてハイレゾ音源と定義している。
なお、日本オーディオ協会はこのハイレゾ音源に対応する機器として、より細かい付帯項目を追加し、それを満たす協会会員の製品については推奨ロゴの使用を認めている。
CDがデジタル臭いと言われる理由
リニアPCMによる音声のデジタル記録は、サンプリング周波数を横軸、量子化ビット数を縦軸としたグラフに音楽信号を記録する仕組み。音楽信号は、波のような形の波形(サイン波)が複雑に重なった形状になるが、これをグラフに写しとり階段上の近似した形状で記録する。これがデジタル符号化だ。
簡単なガイド図を見ただけでも、元の滑らかなアナログ波形と階段上のデジタル信号が近似していても、とても同じ信号波形とは思えないだろう。
これは最終的にはアナログ変換されるときにかなりのレベルで元の信号に近い波形が蘇るが、一度階段上になってしまった形が完全に元通りになるとは言いにくい。これが、CDが登場した1980年代当時から、「CDは音が硬い」、「デジタル臭い」などと言われた理由のひとつだ。
もうひとつの理由として、CDでは再生周波数帯域を20kHzを上限としてそれより上は切り捨ててしまっていることも問題。この根拠は人間の耳が聴き取れる音(可聴周波数)が20kHzくらいまでだからである。
しかし、自然界に存在する音は100kHzくらいまで及んでいるものもあるし、楽器の倍音成分などは普通に40kHzくらいまで伸びていることも知られている。こうした楽器の持つ音をすべて記録できないと、忠実な再生はできないというわけだ。
次ページへ続く、「ハイサンプリングとハイビット化がキモ」
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