ラックスマン株式会社広報担当の小島 康氏、サウンドプロデューサーの与田 春生氏、作曲家の山田 巧氏の3名の対談でスタートした本連載。制作する楽曲はダンス&ボーカルグループの東京女子流に提供されることとなった。
今回制作された楽曲「加速度」は、3月11日に発売された東京女子流のシングル「Stay with me」のカップリングとなり、多くの人に聴いてもらえることとなった。同時に、mora、e-onkyo、OTOTOYの各サイトにてハイレゾ音源も配信され、e-onkyoではデイリー1位を獲得するなど注目を集めた。
本連載ではこれまで、楽曲ができあがるまでの様子や音質にかかわるポイントについて紹介してきた。楽曲が完成し、通常のCD版の発売とハイレゾ音源の配信が行なわれたことは、ひとつの区切りだと言っていい。そこで本連載の最後に、ラックスマンの試聴室にプロジェクトのメンバーすべてを集め、あらためて「加速度」を聴いて座談会を行なってもらった。東京女子流メンバーによる、各音源の聴き比べにも注目だ。
「加速度 96kHz/24bit- Mastering for LUXMAN」は
本当にいい音なのか!?
ラックスマン試聴室にて、東京女子流メンバーに3つの形式の「加速度」を聴き比べてもらった。用意したのは、「マスタリング前のミックスダウンが終わった直後の楽曲」と「CD音源」と「ハイレゾノンリミッターの楽曲」だ。ハイレゾノンリミッターの楽曲はハイレゾ配信サイトなどで配布されている「加速度 96kHz/24bit- Mastering for LUXMAN」のこと。
それぞれの楽曲について、「音のなめらかさ」「音の細やかさ」「音のリアルさ」「自分の好み度」の4項目を5点満点で採点してもらった。今回、ラックスマンの試聴室でセッティングされている高級オーディオにて聴き比べるということで、制作側としては「ハイレゾノンリミッター」の評価が最も高くなってほしいところだ。ただし、音の好みを探るという目的でもあるため、「音を当てる」という聴き比べではない。ちなみに各音源は平均音圧レベルが異なるため、ボーカルレベルが同じ程度になるよう音量を調整して試聴した。
結果は、すべてのメンバーが「ハイレゾノンリミッター」の合計点がいちばん高いというものに! 実際に試聴室で聴いた中には「ハイレゾノンリミッター」合計点がいちばん低いスタッフが何人もいたので、この結果はとても驚くべきこと。東京女子流のメンバーは、全員が「ハイレゾノンリミッター」、いわゆる「加速度 96kHz/24bit- Mastering for LUXMAN」の音を気に入ったということになるのだ。
各メンバーの採点表は以下の通り(採点時は音源の正体は隠して記入)。
3名が「ハイレゾノンリミッター」(音源C)→「マスタリング前のミックスダウンが終わった直後の楽曲」(音源A)→「CD音源」(音源B)の順になっており、音をとても聴き分けているのがわかる。
音源を聴いてみての感想では、「曲の出だしのところが、音源Cは迫力がある感じに聴こえました。歌が入っていないときの楽器の音もより聴こえました」(新井ひとみ)、「音源Cは自分たちの声がリアルに聴こえましたね」(中江友梨)、「音源AとCの違いは難しいんですけど、比べると細かさが全然違うなって思いました」(庄司芽生)──といったものが聞かれた。
(次ページでは、「東京女子流の次の曲はハイレゾ?」)
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