台数ベースで世界スマートフォン市場の3分の1を占める中国。中国を制することなくスマホ市場を制することは難しいと言っても過言ではないはずだ。その中国を中心に、第1四半期のデータからSamsung、Apple、Xiaomi、Huaweiの動向を分析してみたい。
課題は残るがAppleとの差を広げたSamsung
Appleは中国市場での売上が欧州を上回る
第1四半期のスマホ市場のデータが出てきている。2014年第4四半期にその差0.16ポイントと肉薄したSamsungとAppleのトップ争い。第1四半期はSamsungが6.3ポイント差と引き離して王座確定となった。シェアはSamsungが24.5%、Appleが18.2%。Samsungはこの間、次期フラッグシップモデル「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」を発表している。
本格的な提供開始は4月からなのでQ1のデータにほとんど反映されていないが、フラッグシップの影響でその下位機種が売れるという強いフラッグシップモデルの好循環が生まれたようだ。
上記のデータはIDCのものだが、第4四半期にAppleがトップとなったStrategy Analyticsのデータでも、Samsungが首位を奪回している。IDCではSamsung好調の背景として、Galaxy Aシリーズなどミドルレンジとローエンドのボリュームゾーンが台数アップを牽引したとしている。地域的には東南アジア、中東・アフリカで好調だったという。しかし、シェアそのものは3割に達した前年同期から7%のマイナス。上位5つのベンダーがすべてプラス成長を遂げる中、トップながら唯一のマイナスとなった。
一方、ハイエンドのみで勝負するAppleは台数で40%増と高い成長を示した。Appleの牽引力は2014年秋に登場した「iPhone 6」と「iPhone 6 plus」の成功だ。地域的には中国市場で大きく台数を稼いだという。
Appleは4月末に発表した2015Q1(同社会計年度2015年第2四半期)の決算で、売上に占める地域別の比率で中国が欧州を抜いて2番目の市場となったことを発表している。新興国全体では前年同期比63%で成長しているというから、新興国でのApple製品を購入できるレベルの層がiPhoneに流れていることがうかがえる。
残り3社はLenovo(5.6%)、Huawei(5%)、LG(4.6%)。Lenovoは、CESで発表したフラッグモデルの効果か、前年同期比49.2%増と5社中最高の成績を収めた。HuaweiとLGも約25%のレベルで成長するなど、Samsungのマイナス分がそれ以外のAndroidベンダーに流れていることをうかがわせた。中でも5位のLGは、第4四半期に5位にランクインしたXiaomiからの奪還となった。
ダントツトップは不在
Apple、Xiaomi、Huaweiが争う中国市場
世界におけるスマートフォン市場の台風の目は中国だ。巨大な中国市場での動向が世界レベルにも大きく反映されている。
Strategy Analyticsによると、同期世界で出荷された3億4500万台のスマートフォンのうち、1億1000万台は中国市場。つまり台数ベースでは、世界のスマートフォンの3分の1が中国市場なのだ。中国の勢いは増しつつあり、世界市場が8%成長だったのに対し、中国市場はこれを倍以上上回る17%成長だった。
これはAndroidを利用した安価なスマートフォンを地元ベンダーがこぞって提供しているからにほかならないが、その代表格がXiaomiだ。Xiaomiは2014年第3四半期以来、3四半期連続で中国市場を制しており、今期のシェアは12.6%。次いでAppleの12.3%、Huaweiの10.2%と続いている。
上位3社のシェアにそれほど大きな差がないことから、4位以下も僅差でLenovoやZTEなどの地元ベンダー、SamsungやLGなどがひしめいているのではと予想できる。
(次ページでは、「そもそもXiaomiが目指すところはなに?」)
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