本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説をあますことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けをはじめ、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
10月の「Back to the Mac」イベント(関連記事)から、そろそろ50日ですね。90日以内にスタートすると宣言された「Mac App Store」が、いつ始まってもおかしくない時期になりました。年をまたぐかどうか、私は年内スタートと踏んでいますが、どうなることやら……。
さて、今回は「AirPrint」について。iOS 4.2で投入された目玉機能だが、正式にサポートされるプリンターはHP製品のみ……という現状に納得できない向きも多いはず。そこで、わずかな作業で手持ちのプリンターを「AirPrintレディ」に変えてしまう設定方法を紹介してみよう。
OS Xの印刷システム「CUPS」
OS Xの印刷システムには、Jaguar(v10.2)のときから「CUPS(Common UNIX Printing System)」が採用されている。LPR(Line Printer Daemon protocol)などUNIX伝統の印刷システムとの互換性を維持しつつ、プリンター共有機能を提供するIPP(Internet Printing Protocol)、ウェブブラウザーを利用した遠隔管理など、新しい機能を備えている。2007年にAppleはCUPS開発元のEasy Software Productsを買収し、開発は現在も継続中だ。
CUPSに移行したあとのOS Xでは、プリンタードライバはCUPSの「フィルタ」として存在する。ドライバそのものは、/Library/Printers
ディレクトリー以下へインストールされるが、CUPSからフィルタとして呼び出され、プリンターが直接解釈可能なデータ(ページ記述言語)に変換されたうえで印刷が実行される。
OS Xのサブセット版として登場したiOSには、これまで印刷システムが装備されていなかった。iOS 4.2で追加された「AirPrint」は、流れからいけばCUPSのクライアントとして動作するフロントエンドと推測されるが、Appleから詳細な発表は行なわれていない。しかし、iOSとOS Xとのごく近い関係や、いずれはOS Xに接続したプリンターへの印刷もサポートされるであろうことなどを考えると、CUPSのクライアントとして実装するほうが理にかなっているはずだ。
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