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ASCII Power Review 第182回

「28-70mm F2.8 DG DN」と「fp L」とベストマッチなレンズです

SIGMA「16-28mm F2.8 DG DN」実機レビュー = 最先端の超広角ズームレンズは小型軽量でこの描写なのだ

2022年08月05日 10時00分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 シグマが発売した「16-28mm F2.8 DG DN」は、フルサイズに対応した開放F2.8固定の大口径にしてはコンパクトな超広角ズームだ。

 ソニーEマントに、ライカ+パナソニック+SIGMAのLマントが用意されている。というわけで今回は相性がよさそうな、超コンパクトながら6100万画素のフルサイズ素子を搭載するミラーレスカメラ「fp L」、同様のコンセプトの標準ズーム「28-70mm F2.8 DG DN」と合わせて紹介していこう。

「16-28mm F2.8 DG DN」(fp Lに装着のレンズ)の量販店価格は12万6500円、「28-70mm F2.8 DG DN」は9万9000円と大口径ズームにしてはリーズナブル。

シグマ注力のコンパクト高性能レンズ2兄弟
2本で16-70mmをF2.8でカバー! 900g台でいけるのだ

 現在のシグマのレンズラインアップは、サイズは大きくなるがとにかく描写力を重視した「Art」、光学性能は維持しつつ小型軽量で万能性に優れた「Contemporary」、望遠レンズをラインナップした「Sports」の3シリーズに大別される。今回の「16-28mm F2.8 DG DN」と「28-70mm F2.8 DG DN」はいずれも「Contemporary」だ。

 スペックを見てみると「16-28mm F2.8 DG DN」は最大径77.2mm全長100.6mm、フィルター径は72mmで重量は450g。最短撮影距離は25cmで最大撮影倍率は1:5.6(約0.18倍)。インナーズームを採用し、焦点距離を変えても全長が変わらないのも特徴だ。

 「28-70mm F2.8 DG DN」は最大径72.2mm全長101.5mmと「16-28mm F2.8 DG DN」とほぼ同等のサイズ感。フィルター径は67mmで重量は470g。最短撮影距離は広角側19cm望遠側38cmで最大撮影倍率は広角側1:3.3(約0.3倍)、望遠側1:4.6(約0.22倍)となる。

 両レンズとも鏡筒にプラスチックが使用されているが安っぽさはなく、AF/MFスイッチの搭載や専用のレンズフードも付属している。なによりいわゆる大三元と呼ばれる一般的な開放F2.8ズームより少しズーム倍率は低いものの、圧倒的に小型軽量なサイズに収まっているのは最大の魅力だ。

「16-28mmF2.8」を手にしてみると開放F2.8の大口径広角ズームとは思えないほどコンパクトだ。

「16-28mmF2.8」に付属のフードを付けて「fp L」に装着した状態。ズームしても全長は変わらない。

「28-70mmF2.8」も一般的な大口径標準ズームと比べると段違いに小型軽量で気軽に持ち歩ける。

「28-70mmF2.8」に付属のフードを付けて「fp L」に装着した状態。インナーズームではないので望遠側ではレンズが繰り出す。

両レンズともAF/MFスイッチを搭載している。

描写力はさすがのクオリティー
周辺光量もきちんとマッチング

 次に画質をチェックしていこう。両レンズともシグマの「fp L」に装着した際のレンズ光学補正は、歪曲と倍率色収差はユーザーが設定はできず、回折はOFFで周辺光量とカラーシェーディングはAUTOになっている。掲載する作例は記載が無い限り全てレンズ光学補正は初期設定のまま撮影している。

「fp L」に装着した際のレンズ光学補正の画面。

 両レンズの描写の傾向はほとんど同じといえ、周辺光量はズーム全域で絞り開放F2.8は光量低下を残しつつF4から少し改善し、F5.6以降でほぼ解消されている。

「16-28mmF2.8」の絞り値による周辺光量の変化。焦点距離16mm(上)で絞りF2.8(左)・F5.6(右)と、焦点距離28mm(下)で絞りF2.8(左)・F5.6(右)。(以下の作例はすべてクリックで拡大になります)

「28-70mmF2.8」の絞り値による周辺光量の変化。焦点距離28mm(上)でF2.8(左)・F5.6(右)、焦点距離70mm(下)で絞りF2.8(左)・F5.6(右)。

 試しに周辺光量の補正をOFFにしてみると、絞り開放ではより周辺光量低下が目立つので、あえて少し光量低下を残していることがわかる。

 その際に面白かったのが、レンズや焦点距離によって違いがあり、例えば同じ焦点距離28mmでも、望遠端になる「16-28mm F2.8 DG DN」と広角端の「28-70mm F2.8 DG DN」では、無補正の光量低下の具合は異なっている。しかし補正された写真ではほぼ変わらない光量低下になっている。このことからレンズごとに、シグマ的な「適切な補正」がされていることがわかる。

「16-28mmF2.8」(左)と「28-70mmF2.8」(右)、それぞれ焦点距離28mm、周辺光量OFFで撮影。光量低下の具合が微妙に異なっている。

 解像力も中心部では絞り開放からシャープでF5.6~8あたりでピークになる。F16くらいから回折の影響で解像力は少し低下する。また両レンズとも広角側の方が望遠側よりわずかだがシャープに感じた。

 周辺部はF4までは少し解像の甘さもあるが、F5.6~8あたりで整ってくる。F16以降では中心部と同等に回折の影響がある。いずれにしろ像が乱れているわけではないので気にはなるほどではないだろう。

画像を拡大して絞りによる中心部と周辺部の描写の違いをチェックした。これは16-28mmの広角側16mm(左)と望遠側28mm(右)。

28-70mmの広角側28mm(左)と望遠側70mm(右)。

 なお回折による解像感低下も、補正をONにすれば、十分満足できるレベルまで改善してくれる。

回折補正ONとOFFの比較。「16-28mmF2.8」の広角側16mm、絞りF22で撮影した写真の一部を拡大。

 超広角レンズでは気になる歪曲も、ユーザーがOFFにできないことからわかるように、しっかりと補正されている。

「16-28mmF2.8」の広角側16mmで水平垂直に構え撮影してみたが、歪みはほとんど気にならない。

 実際に両レンズで撮り歩いてみた印象としては、「16-28mm F2.8 DG DN」は超広角ならではの遠近感が強調された画角は迫力があり、歪みや周辺の乱れがない優等生的な描写。逆光で少しゴーストが気になることもあったが、光源の位置を少し変えるだけで対処はできた。

 ズーム倍率が低めなせいか、単焦点レンズのような撮り心地で、実際撮った写真を後からみてみると、ほとんど16mmで撮影していた。

遠近感が強調される超広角レンズは、風景に奥行を感じさせてくれる。「16-28mmF2.8」・16mm・F8・1/100秒・ISO100。

ズーム倍率は低めとはいえ、16mmと28mmの画角はまるで違う。「16-28mmF2.8」・16mm・F8・1/200秒・ISO100。

28mm・F8・1/200秒・ISO100。

超広角でも開放F2.8で被写体に近寄って撮影すれば背景はかなりボケる。「16-28mmF2.8」・16mm・F2.8・1/160秒・ISO100。

街中のスナップ。開放で撮影したが周辺光量低下は良い効果になっている。「16-28mmF2.8」・16mm・F2.8・1/250秒・ISO100。

逆光で撮影した際にゴーストが発生してしまったが(上)、少し光源の位置を変えると抑えることができた(下)。「16-28mmF2.8」・16mm・F8・1/13秒・ISO100。

手ブレ補正は無いが超広角ということもあり、しっかり構えれば1/20秒でもブレずに撮れた。「16-28mmF2.8」・16mm・F2.8・1/20秒・ISO1600。

三脚を使用した夜景の写真。やはり丁寧な撮影するとキレイに写る。「16-28mmF2.8」・16mm・F16・4秒・ISO100。

 一方「28-70mm F2.8 DG DN」は24mmスタートの標準ズームと比べると広角側が少し狭く思うこともあるが、開放F4以上のレンズのようなサイズ感で、開放F2.8を活かしたボケが楽しめるのは有難い。撮影倍率はそれほど高くはないが、望遠側でも38cmまで寄れるのでアップで撮影することもできる。

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