ASCII倶楽部

このページの本文へ

ASCII Power Review 第157回

ベーシックではなく上位モデルですよこれは

ソニー「α7Ⅳ」実機レビュー = α1と7Rと7Sの良いとこ取りした究極のカメラだった!

2021年12月21日 13時00分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 ソニーから登場した「α7Ⅳ」。フルサイズミラーレスのスタンダードモデルとしては4代目になる。先代の「α7Ⅲ」はフルサイズミラーレスの普及を加速させたと言っても過言ではないベストセラーモデル。そこからどのように進化したのか興味深いところだ。

12月17日に発売されたが現在品薄中。量販店価格はボディーのみ32万8900円。来春以降に「FE 28-70mm F3.5-5.6」とのレンズキットが35万円前後で発売予定。写真のレンズは今回試用した「FE 24-70mm F2.8 GM」(27万7750円)

ボディデザインにサイズも完全リニューアルし、最先端の操作性に

 ボディーは先代より少しだけ大きく(といっても数ミリ程度)なっている。手にして最初に感じるのが構えたときの安定感の良さ。グリップが大きくなり形状も改良されたおかげで手に馴染み、ホールド感が格段に向上した。

ボディーサイズは131.3(W)×96.4(H)×79.8(D)mm、重量はメディアとバッテリー込みで約658g。ちなみに先代の「α7Ⅲ」は126.9(W)×95.6(H)×73.7(D)mm、約650g。

グリップの窪みの深さや形状が手によく馴染み、しっかり構えられる。

上面から見るとボディーの厚みが増し、グリップのサイズも少し大柄になった。

 背面液晶はチルト式からバリアングル式に変更された。カメラマニアにはレンズ光軸上で視認できるチルト式のファンも多いが、やはり自由度が高いバリアングル式の可動域は魅力的。かくいう自身もチルト式派だったが、一度バリアングル式に慣れると一転バリアングル式派に転向してしまった……。

バリアングル液晶なら180度回転するので、商品撮影で三脚に構えたまま被写体の位置を調整したいときに重宝する。

 ボタン類の配置は大部分が同じだが、形状やストロークの深さなどが改良され操作しやすくなっている。

背面はほとんど「α7SⅢ」と同様で、ボタンの形状が改良され操作感が向上した。

「AF-ON」ボタンは大きくなり、マルチセレクターはギザギザの突起があるフラットな形状に。他のボタン類もストロークが深くなり押しやすい。

 動画ボタンは背面から上面のシャッターボタン後方に入れ替わった。動画撮影メインの人には使いやすい配置だろう。

動画ボタンはシャツターボタン後に移動。もちろんカスタマイズでISO感度など他の機能に割り当て変更は可能。

 モードダイヤルから選択していた「静止画/動画/S&Q(スローアンドクイック)」を、独立させたロック式の新規のダイヤルを装備。従来は動画撮影の露出モードはメニュー画面から変更しなければならなかったので、このダイヤルのおかげで動画撮影での露出モード変更がしやすくなった。

新設された「静止画/動画/S&Qダイヤル」。ロック機能も備えているので誤って動いてしまうことはない。

 上面右肩にあった露出補正ダイヤルは単独のロック式コマンドダイヤルに変更され、各種撮影設定が割り当てられる。つまり前面と上面後部に2つ、さらに背面のホイールと計4つのコマンドダイヤルを備えることになる。自分好みの操作性を追求したい人には使いこなしがいがありそうだ。

従来の露出補正ダイヤルから通常のコマンドダイヤルに変更され、カスタマイズの自由度が向上した。

 EVFの解像度も236万ドットから368万ドットに向上。先代機でも不満に思うほどではなかったが、やはり高精細なのは覗いていて気持ちいい。

解像度が向上したEVF。細かい点だがアイセンサーの位置も上部から下部の変更されている。

 メディアカバーもスライドロック式に変更し、両スロットともUHS-Ⅱ対応。さらに片方のスロットではCFexpress Type Aの使用も可能になった。

上部のスロットはSDとCFexpress Type A兼用。カバー裏に対応メディアが表記されているは何気に親切。

 メニュー画面も最新の配列に更新された。フォーマットが「セットアップ」から「撮影」のタブに移動するなど大きく変更した項目もあるが、機能ごとに整理され、さらにタッチ操作にも対応したので、慣れれば従来よりも使いやすいと思う。

メニュー画面がタッチ操作に対応したので、設定の変更がスムーズにおこなえる。

 側面の端子カバーもしっかりと開閉できるタイプに変更、HDMIは標準の端子を搭載した。

「α1」や「α7SⅢ」といった上位モデルのみだった標準のHDMI端子を搭載。これでシンクロ接点があれば完璧だが、スタンダードモデルに求めるのは酷か。

 電源オフ時にシャッターを閉じて撮像素子にゴミやホコリの付着するのを防ぐ機能も追加された。ただしシャッターは撮影素子と同等に繊細な部位なので取扱には注意が必要。個人的には撮像素子剥き出しのままで、こまめに清掃するほうが安心だ。

電源をオフにするとシャッターを閉じる機能を設定する画面では注意事項が表示。確かにシャッター幕が?き出しの状態はかなり注意が必要そうだ。

 ボディーに触れてみるとグリップや操作ボタンは「α7RⅣ」から、バリアングル液晶やメニューのタッチ操作などは「α7SⅢ」からと上位モデルで採用された改良が随所に見られる。そのおかげもあってか実際に撮っていると先代機よりワンランク上の機種ように感じられた。

画素数38%アップの効果は? AF速度は向上

 フルサイズスタンダードモデルの標準的な画素数は長らく2400万画素前後だったが、「α7Ⅳ」では3300万画素までアップした。800画素分の差は圧倒的とまではいかないが、適度なシャープ感で拡大してみると細部が精細に解像されている。明暗差の再現も滑らかで階調は豊富だ。

銅像の質感や草木の細部の描写から解像感の高さが伝わる。使用レンズFE 24-70mm F2.8 GM・絞りF8・シャッタースピード1/250秒・ISO100・ホワイトバランスオート・Dレンジオプティマイザーオート・クリエイティブルックスタンダード・レンズ補正すべてオート。

太陽を写り込ませた逆光でも明暗部の階調が幅広く再現されている。使用レンズFE 24-70mm F2.8 GM・絞りF16・シャッタースピード1/80秒・ISO100・ホワイトバランスオート・Dレンジオプティマイザーオート・クリエイティブルックスタンダード・レンズ補正すべてオート。

絞り開放の近接撮影なので、少しレンズ描写は甘いが、拡大してみても十分に解像されている。使用レンズFE 24-70mm F2.8 GM・絞りF2.8・シャッタースピード1/5000秒・ISO100・ホワイトバランスオート・Dレンジオプティマイザーオート・クリエイティブルックスタンダード・レンズ補正すべてオート。

 あまり高画素なモデルではレンズ性能のアラや少しブレやピントが気になることもあるが、3300万画素程度ならそれほど気を遣わずに撮影を楽しむことができた。高画素モデルよりリーズナブルで、2400万画素では物足りない人にはちょうどいい画素数かもしれない。

 連写はメカ/電子ともに秒10コマで変わらず、電子シャッターでは動体歪みが発生する。AFはわずかではあるがピントが合うのがワンテンポ速くなったように感じる。トラッキングも被写体に食い付くときのロストが少なくなり、一度捕捉すれば粘り強く追随してくれた。

向かってくる電車をトラッキングで連写撮影。規則的な動きの被写体ならAFの心配はいらない。使用レンズFE 70-200mm F2.8 GM Ⅱ・絞りF2.8・シャッタースピード1/800秒・ISO100・ホワイトバランスオート・Dレンジオプティマイザーオート・クリエイティブルックスタンダード・レンズ補正すべてオート。

遠くを飛んでいたカモメを試しに連写で撮影。被写体は小さめだったがしっかり追随してくれた。使用レンズFE 70-200mm F2.8 GM Ⅱ・絞りF2.8・シャッタースピード1/2000秒・ISO100・ホワイトバランスオート・Dレンジオプティマイザーオート・クリエイティブルックスタンダード・レンズ補正すべてオート。

上記の写真の一部をフルHD相当(長辺1980ピクセル)でトリミングしてみた。しっかりとピントが合っていて驚いた。

 最高感度は常用ISO51200、拡張ISO202800と先代機と変わらない。ISO6400程度まではノイズや解像感低下はほとんど目立たず高感度であることを感じさせない。

 ISO12800を超えてからは徐々に画質劣化していくが、拡大して細部を見なければ拡張のISO102400でも許容できる。画素数はアップしても高感度画質は優秀だ。

カテゴリートップへ

この連載の記事

週間ランキングTOP5

ASCII倶楽部会員によく見られてる記事はコレだ!

ASCII倶楽部の新着記事

会員専用動画の紹介も!