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ASCII Power Review 第130回

M4/3の最新モデルは配信機能内蔵なのだ

LUMIX GH5II 実機レビュー = カメラだけで高画質のライブ配信が魅力のミラーレスだ

2021年06月22日 13時00分更新

文● 撮影 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 パナソニックからマイクロフォーサーズのフラッグシップ機「LUMIX GH5Ⅱ」が6月25日に発売される。主なスペックは2017年登場の前モデル「GH5」から大きな変更はないが、カメラだけで無線ライブ配信ができるなど、動画機能が強化されている。

量販店価格はボディーのみ21万5600円、「12-60mm/F3.5-5.6」とのレンズキットは24万3100円。フラッグシップ機としては割とお買い得。しかも8月29日までキャッシュバックキャンペンーン中(ボディーのみで1万5000円、レンズキットで2万円)。

無線LANかスマホがあれば

 GH5Ⅱでもっともアピールしているのが無線ライブ配信機能だ。スマホの専用アプリ「LUMIX Sync」と「GH5Ⅱ」を接続し、アプリ上で配信設定をおこなう。

 またPC用アプリ「LUMIX Network Setting Software」を使用すれば、配信設定をSDカード経由で「GH5Ⅱ」にコピーし、カメラ単体での配信も可能となる(別途WiFiの通信環境は必要)。

 ライブ配信未経験で知識も皆無の自分でもできるか試してみたが、特に設定に戸惑うこともなく(YouTubeなど配信サービスのアカウント作成は必要)、ごく簡単にライブ配信ができた。

 今回はアプリをインストールしたタブレットから無線LANに接続しテストをしたが、正式なバージョンが公開されればスマホのテザリングで屋外など場所を選ばず配信が可能になる。

 運用する際は通信環境による遅延などを検証する必要はあるだろうが、今後5Gが普及すれば、より高画質でのライブ配信も期待できる。すでにライブ配信を行っている人はもちろん、これから始めようとしている人にも注目の機能だ。

「GH5Ⅱ」でライブ配信を試してみた様子。配信中は液晶画面に青枠が表示され一目でわかる。なお配信設定は以下で詳しく説明されている。

 もともと「GH」は動画撮影に特化したシリーズだけあって、解像度は一般的な4K(3840×2160ドット)以外に映画で使われるCinema4K(4096×2160ドット)やアナモフィック動画(4992×3744ドットや3328×2496ドット)の設定も可能。また撮影後の色調調整の自由度が高い広階調で撮影するLog撮影も搭載するなど、プロの映像制作者向けに豊富な機能を備えている。

動画のファイル形式はMP4かMOVが選択できる。MOVでの動画画質は解像度やフレームレート、記録形式の組み合わせで計34通りにもなる。頻繁に画質変更を行うなら、よく使う動画画質を登録しておけるマイリストを活用するといいだろう。

 そういうと一般ユーザーには少し敷居が高く感じるかもしれないが、もちろんカメラ任せのオートモードでも手軽に、そして高画質な4K動画を撮影することができる。指定したピント位置を自動で移動させる「フォーカス・トランジション」は、ボケの効果もあり、なかなかプロっぽい映像となる。

 4KからフルHDに切り出すことで左右のパンやズームインアウトがスムーズに行える「4Kライブクロップ」とったアシスト機能も搭載しているので、これから動画撮影を上達させたいと思っている人にも安心だ。


MP4の4k60P10.2.2.10Bitで撮影した作例。


フォーカストランジションの作例。
あらかじめフォーカス位置を登録し撮影時に選択することで、自動的にピントを移動させることができる。登録できるフォーカス位置は3つ。フォーカス移動の速度も5段階から設定できる。


4Kライブクロップの作例。
解像度はフルHDになるが、カメラを固定したままでズームやパンがおこなえるのが便利。

 またデジカメ動画では連続撮影時間が30分以内といった制限がある機種が多いなか、動画撮影時間が無制限というのも魅力的なポイントである(もちろんメディアやバッテリーの容量、炎天下の屋外では熱によるシャットダウンの可能性はあるが)。イベントなどで長時間撮影し続けたいときにもビデオカメラ同様に活躍してくれる。

カメラとしてのデザインも向上
USB給電しながらの撮影も可能で安心

 外観も前モデルから変更はなく、違いを見いだせるのは前面の製品ロゴと上面動画ボタンの色、ドライブダイヤルの赤いラインくらいだ。

 ボディーサイズは撮像素子が小さいマイクロファーサーズにしては大柄に感じるかもしれないが、そのおかげで放熱性能に優れ、動画撮影時間無制限が可能になったと考えれば大歓迎だ。実際に構えてみるとボディーの厚みの割に少しグリップが浅めに感じるが、ホールド感としては十分及第点である。

 シャッターボタンは半押しの柔らかいタッチに、撮影時には適度なストロークで押し心地は良い。操作系で気が利いているのが上面ダイヤルのうしろに並んだ3つのボタン。それぞれ形状が異なっていて、ファインダーを覗きながらでも指先の感覚で判断することができる。初期設定ではこれらのボタンにISOやホワイトバランスなどが割り当てられているが、自分好み機能にカスタマイズすることも可能だ。

 背面液晶は162万ドットから184万ドットになり、輝度や色再現が向上しているが、正直厳密に比較しないとわかないレベル。しかしタッチパネルでの操作感は相変わらず快適で、撮影時ではタッチパットAFの測距点選択、再生時の画像送りや拡大縮小、メニュー設定の変更などがスムーズに行える。

 EVFは368万ドットと変更は無いが、現状でも高精細の部類で視認性に不満を感じることは無いだろう。

 バッテリー容量は従来より18%アップしているが、それでも実際に撮影してみると消費が早く感じ、長時間撮影するには少し心許ない。しかしUSB給電(PD対応)が可能になったのでモバイルバッテリーでカバーできるようになったのは嬉しい進化だ。

138.5(W)×98.1(H)×87.4(D)mm。重量はメディア・バッテリー込みで約727gとフルサイズなみのサイズ感だが、その分放熱対策はバッチリ。

上面の動画ボタンは赤一色になり視認しやすくなった。モードダイヤルにはロック機能を備える。ドライブダイヤルにも赤いラインが施された。欲を言えばグリップはもう少し深さが欲しいところ。

上面ダイヤル後ろの3つのボタンの形状を変えたのは操作性能を向上させるためのナイスアイディアだ

ストロボのシンクロ端子を備えているのは静止画撮影派には嬉しい。

背面操作系も大きな変更は無いが、コントロールダイヤル上のAFモードボタンとQメニューボタンが入れ替わっていて、最初はよく押し間違えた(カスタマイズで変更は可能)。

ファインダー撮影時の測距点移動はジョイステックでもできるが、背面液晶をなぞって移動させるタッチパットAFも滑らかで快適な操作感。

ダブルSDスロットは両方ともUHS-Ⅱに対応。動画でもバックアップ撮影が可能だ。

側面の端子類。HDMIはType Aを採用。USB-CはUSB PDの給電にも対応した。

付属の充電器もUSB-C接続。コンパクトなので持ち運びも楽々。

 静止画も有効2033万画素と変更はない。初期設定の画質仕上げ(スタンダード)では、適度なコントラストとメリハリがある色乗りの良い発色。シャープネスは控えめで自然な解像感である。

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