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小島寛明の「規制とテクノロジー」 ― 第23回

「技適なしスマホ」2020年から試せるようになりそうだ

2019年05月20日 12時00分更新

文● 小島寛明

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 最近、電波を飛ばす機能を備えたデバイスが増えている。

 身の回りの機器について考えてみても、スマホやモバイルWi-Fiルーターは当然のこと、スピーカー、デジカメ、電子書籍端末もWi-FiやBluetoothを利用して、データを送受信している。

 IoTの時代に入り、あらゆる分野の機器に通信機能が備えられつつある。

 海外では、日本で発売されていない独特な機能やデザインのスマホなども流通していて、日本にいながらネット経由で入手できるものもある。

 ただ、日本で流通していない海外製のデバイスを使う際、気にしておきたい制度がある。技術基準適合証明(技適)という制度だ。

 電波を送受信するデバイスは、電波法で定められた技術基準に適合する必要がある。認証を得たデバイスには、原則として「技適マーク」がどこかに書いてある。

 一方で、技適を得ていないデバイスを使うと、電波法に抵触するおそれがある。

 この分野については、近年、少しずつ規制緩和が進んでいる。背景には、スマホなどさまざまなデバイスを巡る激しい国際競争と、日本にやってくる外国人観光客の増加があるようだ。

●電波は好きには飛ばせない

 人々が好き勝手にさまざまな周波数の電波を飛ばすと、さまざまな問題の発生が予想できる。

 自衛隊も警察も消防も、それぞれ無線で通信している。こうした無線が混信し、不具合が生じると、治安や安全、さらに言えば国の安全保障にも支障がでかねない。

 だからこそ、電波は国が厳密に管理し、交通整理をする必要がある。

 ただ、技適の取得には手間がかかるため、スマホの最新機器が日本では発売されないといった問題も生じている。

 新しい機器や、関連するアプリを開発する際、開発者サイドとしては、ユーザーに使ってもらって、事前に市場の反応を確認したいだろう。

 しかし、現行の制度では、新しい機器を使うには「技適」の認証を得る必要がある。

●Wi-Fi、Bluetooth機器開発のための規制緩和

 認証を得るには、手間だけでなく時間もかかる。ものすごい速度で変化するIT業界において、時間的なロスは企業にとっては損失にもなりかねない。

 VR(仮想現実)ディスプレー、AR(拡張現実)グラスといった、新しいデバイスについては、一般の認知が広がったスマホなどと比較して、技適取得にさらに時間がかかるという。

 こうした規制を緩和する電波法の改正案が2019年5月、国会を通過した。2020年春から施行される見通しだ。

 スマートスピーカーやARグラスなど、Wi-FiやBluetooth通信機能を備えたデバイスについて、開発段階で実験をする際には、技適を取得していなくても、国際標準規格などを備えていれば、届け出をすることで、日本国内で実験が可能になる。

 実験の期間は180日と定められている。今回の規制緩和で、新しいアプリやデバイスの開発が促進されることになるだろうか。

●外国人観光客の増加と電波

 もう一つ、少し前の話になるが、外国人観光客に伴う規制緩和も導入された。

 日本政府観光局によれば、2018年には、日本を訪れた外国人観光客は3000万人を超えた。

 外国人観光客の多くは、スマホを持っているが、当然ながら技適マークはついていない。

 2015年の規制緩和では、90日以内の日本滞在であれば、米国や欧州の技術基準を満たすものであれば、Wi-FiやBluetoothを備えるデバイスを日本で使えるようになった。

 当時の国会での政府答弁をみると、2020年の東京五輪と、外国人観光客の増加に対応した制度改正だったようだ。

 しかし、この制度には、ちょっと疑問も残っていた。

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