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光ファイバーセンシング技術を鉄道に利用

そんなことできるの!? 線路を点検するために「既存の光ファイバー」を“振動センサー”として利用する新技術

2025年11月19日 18時30分更新

文● モーダル小嶋/TECH.ASCII.jp

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 JR西日本とNTT西日本は11月12日、通信用に敷設された光ファイバー(光ケーブル)を振動センサーとして活用する「光ファイバーセンシング技術」を鉄道分野へ応用するため、共同検証を本格的に開始したと発表した。

 鉄道インフラの保守・監視をめぐっては、少子高齢化による保守要員の確保難や設備状態の把握の複雑化が課題となっている。

 NTT西日本は、光ファイバーセンシング技術を多様な現場での展開をめざしており、その技術をJR西日本の広範囲に展開している鉄道設備に応用することで、少人数でも高精度に常時モニタリングできる仕組みの検討を進めるとする。

 本技術の特徴として、光ファイバーに光を入射し、反射して戻る光の変化を解析することで、変化が起きた場所とその内容を把握できるという仕組みが挙げられる。

検証環境イメージ

1台のセンシング装置で、数十キロメートルにわたる線路沿い振動を連続検知可能であり、設備に物理的接触せずにモニタリングできる点もメリットとして紹介されている。

光ファイバセンシング技術による列車走行軌跡の取得結果

 検証のフェーズとしては、まず基礎研究で線路の状態モニタリングに関する実験を実施。取得データの解析において列車走行位置を高精度に検知できたという知見が得られている。

 まずは列車位置検知を深度化するとともに、落石・倒木の検知や設備異常検知などの技術検証を進めることで列車運行中の安全確保にも寄与し、乗客にとって安心・安全な移動環境の実現を図る。

 今後は、線路沿いに敷設された通信用光ファイバーを振動センサーとして活用することで、新たな設備投資を抑えつつ、広域かつ高精度な鉄道設備や周辺環境の常時モニタリングを実現するという。

 また、既設の光ファイバーとセンシング技術を組み合わせることで、鉄道設備や周辺環境の変化を継続的に把握し、多様な課題の解決につながる新たな可能性の創出をめざすとしている。

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